普通のホラーと全然違うから怖い...夏の終わりにオススメのホラー『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』中村義洋監督インタビュー
「穢れ(けがれ)」=人の死際に生じるとされる不浄のこと。そんな「穢れ」にふとしたキッカケで触れてしまい、その経緯を過去へ辿るうちに自分もその一部となっている。文芸雑誌「ダ・ヴィンチ」の「怪談オブザイヤー」で第一位に輝き、山本周五郎賞も受賞した小野不由美さんの小説を、『ゴールデンスランバー』『白ゆき姫殺人事件』『予告犯』『ほんとにあった! 呪いのビデオ』などでも知られる中村義洋監督が映像化したホラー映画『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』。竹内結子さんが演じる小説家の主人公が、とあるマンションで起こった不思議な出来事の原因を探るうちに事件へと巻き込まれていく物語。現在、ブルーレイ&DVDで発売中だ。
第一回目のインタビューとなる今回は、あらためて中村義洋監督ご本人に、映画化されたキッカケについてお聞きしました。
■キッカケは小野さんからのご指名?
――あらためて、小野不由美さん原作の本作品、映画化のキッカケは?
原作の出版前に、小野さんに編集者の方が「映画化の話が来ればいいね」という話をしたときに、小野さんが「それなら中村監督に撮って欲しい」と仰ってくれたそうで…それで編集者の方が僕に本を贈ってくださったのがキッカケですね。それで僕も読んでみて、「ぜひやりましょう」となりました。
――ご指名があったんですね。本を読まれたときの感想は?
読んでみると、僕が16年前に撮っていた「ほんとにあった! 呪いのビデオ」の内容…“どこをどういう風に怖がらせるか?”“人が怖いと思うのはどういうところなのか?”という部分に、『残穢』と共通した部分が多いなと思いました。
■過去にさかのぼっていくごとに増す怖さ
――共通している怖さとはどんな部分ですか?
怖い現象の“元”を調べていくというか、「ほんとにあった! 呪いのビデオ」もそうで、ホームビデオに映っちゃったことを掘り下げる…“部屋には何があったのか?”“どんな家族だったのか?”とか。そうやって、だんだん過去にさかのぼっていくということをしていたので、そこはすごく似ているなと思いました。
――怖さの元がどんどん紐解かれていく感じは不気味ですよね
それで紐解いていくうちに、全然違うところに話が展開していくとかもあって、そこも怖いしね。
■ホラー映画として、ホラーっぽいシーンがあった方がいいのか?
――映像化にあたって小野さんとは何かお話されましたか?
小野さんとは、脚本が上がってからお会いしました。基本的に全然NGはなかったです。ただ、僕らの方で少し考えすぎていたところがあって…一般的なホラー映画で言うところの“掴みの部分”なのかな。襲ってきたりとか、絶叫したりとか、そういうストレートな描写が全然ないので、前半なり中盤なりにもっと“掴みの部分”を増やさないといけないんじゃないかというのが、ちょっとあったんです。
――確かにそういうシーンはホラー映画の見どころですが、小野さんは何とおっしゃったんですか?
小野さんは、普通のホラー映画と全然違っていいと…「この作品は出るまでが怖いのよね。逆にすぐ出ちゃったら、なんかね…」ということを仰っていたので、それで悩みが吹っ切れた感じがしました。
――そこは中村監督の考えと同じだったんですね
そうですね。まあホラー映画って大概そういうシーンがあるでしょ。そういう意味で、始まって30分ぐらいのあたりで、“なんかないといけないかな”とね。話としてはコレでいいんだけど、商品として、ホラー映画として大丈夫なのかなというところでした。
――そういう葛藤は「監督」という立場ならではですね
そうですね。でも出来上がった作品を見た小野さんが「こんなに私好みの映画でいいのか」と仰ってくれていたので、本当に良かったなと思います(笑)。
【中村義洋監督インタビュー】
普通のホラーと全然違うから怖い...夏の終わりにオススメのホラー
テーマについて何か響くものがないと基本的には断っています
撮影があまりに怖いので、心霊スポットの噂がないところをロケ地に選んだこともあった
試写会で竹内結子さんに「めちゃくちゃ怖い!」と怒られました
■「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-」ブルーレイ&DVD発売中!
監督:中村義洋(最新作「殿、利息でござる!」が公開中)
原作:小野不由美(新潮文庫刊)
脚本:鈴木謙一
出演:竹内結子、橋本愛、佐々木蔵之介、滝藤賢一 ほか
公式サイト:http://zang-e.jp/
発売元:ハピネット
(C)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会