木村カエラの主題歌「向日葵」は「ヘイ・ジュード」の"女性版"

『バースデーカード』吉田康弘監督インタビュー第三弾!

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今回は『バースデーカード』の主題歌を手掛けたのは木村カエラさんとの打ち合わせ秘話。さらに、オリジナル脚本に込めた監督の想いについてお話を伺いました。

 

■木村カエラが手掛ける主題歌「向日葵」は「ヘイ・ジュード」の女性版!?

 

――劇中では激しいライブパフォーマンスで知られる日本のパンクロックバンド「銀杏BOYZ」の曲が使われますね。

こないだライブも行って来たんですよ! 最高でした!

 

――なぜ銀杏BOYZの曲を使用したのですか?

僕も好きですし、時代設定的にちょうど入るなと。クラスの連中には伝わらないけどハマる人は多いバンドみたいな感じで、バッチシだなと! 

 

――木村カエラさんの歌う主題歌「向日葵」も映画の雰囲気にピッタリです。どういう経緯でできた曲ですか?

母と娘の話なので、女性のシンガーがいいんじゃないかとアーティストを探したところ、木村カエラさんの名前が上がってきたんです。で、実際にお会いして、どういうイメージでエンディングの曲が欲しいかという打ち合わせをした時「ヘイ・ジュード」の女性版みたいなことってないですかね、という話をしたんです。

 

――あのビートルズの名曲「ヘイ・ジュード」ですか?

はい。「ヘイ・ジュード」って父と息子の歌じゃないですか。その女性版で、母親が娘を思う、今はもうここにいないけどいつも娘を思っている。それを幸せそうに歌うという、そういう歌が欲しいという話をして。イメージとしては、温かい夕方に(ロケ地の)諏訪湖のほとりで、女の人が幸せな気持ちを噛み締めながら1人で歌っている。そしてその夕方は決してうら寂しい夕方じゃなくて、非常にゴールデンな温かい時間帯だと、そんなことを伝えて。でもすごいのは、そんな説明なのにすぐ「分かりました!」と言って下さって。そんな漠然とした言葉なのに(笑)。その感覚的なところで把握してくれるのは、さすがアーティストだなと!

(*予告編0:32〜木村カエラさんによる主題歌『向日葵』が流れます)

 

■普通の人の人生の輝きやきらめきの瞬間を大事にしたい

 

――映画の中ではバイクの二人乗りをするシーンなど、ちょっと懐かしい胸キュンシーンもたくさんありました

お客さんを選ばない映画にしたいなと思っていたので。子供の目線でも大人の目線でも観られるし、幅広く観られる映画にしたいなと。そういう意味では「好きな人のバイクの後ろに乗る」って、今の若い人たちからしたらちょっと一世代前の感覚かもしれないけど、僕ら世代や上の世代にはやっぱりあって。

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――確かにバイクの二人乗りには憧れました(笑)!

普通の人の人生のスケッチなので、どういうことでテンションが上がるかと考えていく中でね(笑)、初恋の人との再会とか、昔約束してたバイクの後ろに乗せてもらうとか、一緒に花火を見るとか。そういうことがやっぱり、普通の人の人生の輝きやきらめきの瞬間であったりするじゃないですか。そういうことを大事にしたい、ありえるイベント事をさりげなくできるだけ入れたいなと思って。

 

――普通の人の人生に真正面から向き合って描いてあり、もしかしたら普通の人こそ強いのかもとも思わされました

ああ、そうですね。映画の中で「蒼氓(そうぼう)」という言葉が出てきますが、この言葉がすごく好きで。蒼氓というテーマを持ちたいなと思ってああいう風に入れているんです。

 

――子供時代の紀子に、「『蒼氓』とは名もなき人々のこと」だと母・芳恵が説明するシーンがありましたね

世の中の人たちはほぼみんな、一生懸命生きていつか死んでいく「名もなき民」ですよね。死んだ後に名前が残る人なんか何人もいない。でも、その人たちの人生を肯定するような映画を作りたいと思ってました。だからこそ、普通の家族の人生のきらめきを撮りたいという気持ちで臨んでいましたね。

 

――映画では“普通の人”にもこんなに紆余曲折や最高の瞬間があるのかと思わされました。引っ込み思案な紀子が、あのクイズ番組『アタック25』にも出ちゃいますし

あの時の紀子はいい顔してますよね。編集してても「あの臆病だった子がこんな顔するようになるんだな…」と、ちょっと親目線に(笑)。お客さんにも、友達目線でも親目線でもいいから、クイズというよりあの時の表情を観てもらいたいですね!

 

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――監督もびっくりするぐらいのイイ表情だったと!

いや~、いい表情してるなと! まあ、そうしてくれと言っているからではあるんだけど(笑)。編集で繋がっているものを観た時に「ああ、いいよな、こういう映画って」と思ったりしました(笑)。

 

【『バースデーカード』吉田康弘監督インタビュー(全4回)】
(1)オリジナル脚本で東映配給100館を勝ち取った理由とは?
(2)主演・橋本愛の指摘で足されたシーンとは?
(3)木村カエラの主題歌「向日葵」は「ヘイ・ジュード」の"女性版"
(4)子役時代の撮影現場にも足を運んだ主演・橋本愛の想い

 

■『バースデーカード』公開情報

2016年10月22日(土) 全国ロードショー

出演:橋本 愛 ユースケ・サンタマリア 須賀健太 / 中村 蒼 / 谷原章介 木村多江 宮﨑あおい

監督・脚本:吉田康弘(*「吉」の字は「土」に「口」です)

主題歌:「向日葵」木村カエラ(ELA / ビクターエンタテインメント)

公式サイト:http://www.birthdaycard-movie.jp/

 

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