撮影があまりに怖いので、心霊スポットの噂がないところをロケ地に選んだこともあった『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』中村監督インタビュー
今回は、中村監督ご自身の恐怖体験についてお話を伺いました。
■怖いことはなかなか起きないもの
――ぜひ、聞いてみたかったのですが、「ほんとにあった! 呪いのビデオ」を撮っているときなど、実際現場は怖かったですか?
最初の頃は怖かったですよ!墓場とか廃病院とか、“心霊スポットに行ってください”と言われて行くんですけど、まあ怖かったです。ただね…幽霊をリアルを見せるのって難しいんですよ。
――そうなんですか?
まあ見えないですね。最初は撮影準備している間、すごく怖かったです。時々、余りに怖いので、心霊スポットとしての噂はないところをロケ地に選んで「ここは怖いですよ」って会社に言って、行ったりしたこともありましたから(笑)。でもそのうち、いろんな心霊スポットに行っても、なかなか起きないから、感覚が麻痺してくるんですよね。
―――その慣れもすごいですけどね
それこそ最初はお守りも持っていったし、お祓いもちゃんとしたんですけど…結局慣れちゃって、お祓いに行ったのはパート1までですね(笑)。
――幽霊って貴重なんですね
でも、その経験が今に役に立っていることは多くて…なかなか普段怖いことって実際は起きない中、それをどう怖く見せるのか、その演出で何に気を付けるべきかがわかってきました。
――なるほど
例えば、出演者が喋っていることがセリフみたいに聞こえないようにとか。そういう、本当に心霊現象、怖いことが起こったときはこうなるだろうなということを具体的に想像できる。だからすぐにゴール(幽霊が出る)にはいかない。そこは、今回の『残穢』の話にも共通しているかなと。
■全部は解決しないのがリアリティ
――『残穢』はよりリアルだからこそ、怖さがにじみ出てくるんですね
そうですね。例えば『残穢』でも、話が横道にそれるけど、そのルートの話は途中で止まるとか、そういう解決しない部分は原作にも多いんですけど、その辺のリアリティの演出は大事だなと思います。
――全部見せちゃうとリアルじゃなくなると
これは映画にも出てくる言葉ですけど、“話しても祟られる、聞いても祟られる”ってあるでしょ。あの言葉って一般的なホラー映画で出てきてもそれほど怖くないと思うんです。でも『残穢』では、そこまでの過程がリアルだからすごく怖い。映画でもちゃんとそこが怖くなるように持っていきたいという想い、プレッシャーはありました。まあ出ているのは、竹内結子と橋本愛という有名人だけど(笑)。
■怖がりなのに主役をつとめた竹内結子さん
――先ほどお話に出た竹内結子さんとはどんなお話しを?
実際は、それほど多く話したわけではないんですよ。基本的には、役者さんが迷わないようにこちらもしっかり台本を作るし、原作もありますし。あと僕自身が、迷ったときだけ聞いて来る役者さんが好きというのもありますし。
――そうなんですね。では撮影はかなりスムーズにいかれたと?
そうですね。ただ、竹内さんに関していえば、本人がすごく怖がりなんですよ。だから竹内さんからはよく「この人(主人公)は、これでも怖がらないんですよね」という、怖がる尺度についての確認はありました(笑)。
――素の自分と役の自分のギャップが大きかったんですね
そう。だから、後半になって怖い場面がいろいろ起こってくると、より竹内さんからも「監督、ここでもまだ(主人公は)怖くない…んですよね?」と、確認が多くなりましたね。僕もそれに対して「そうなんでしょうね」と答えて。
――お互い丁寧に確認しながら進めたんですね
竹内さんは本当に怖いものがダメでした。普段でも、心霊的な話になるといつの間にか、席を立ってスーッていなくなってましたもん。
――よくこの『残穢』の出演を引き受けましたね
たぶん間違えたのかもね(笑)。
【中村義洋監督インタビュー】
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撮影があまりに怖いので、心霊スポットの噂がないところをロケ地に選んだこともあった
試写会で竹内結子さんに「めちゃくちゃ怖い!」と怒られました
■「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-」ブルーレイ&DVD発売中!
監督:中村義洋(最新作「殿、利息でござる!」が公開中
原作:小野不由美(新潮文庫刊)
脚本:鈴木謙一
出演:竹内結子、橋本愛、佐々木蔵之介、滝藤賢一 ほか
公式サイト:http://zang-e.jp/
発売元:ハピネット
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