マンガと実写の違いを意識しました 『ピースオブケイク』田口トモロヲ監督(2/4)

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恋愛版『仁義なき戦い』…田口トモロヲ監督がそう捉えて撮影した25歳女の恋愛を描いた『ピースオブケイク』。第1回目のインタビューでは、監督と本作との出会いについて語って頂きました。今回のインタビューでは、マンガが原作のストーリーをどう“リアル”に映像化していったのか、その手法・こだわりについてお聞きしました!

 

 

 

主人公と同い年の多部未華子さんにリアリティチェックを依頼

―――マンガが原作の本作ですが、映像化において注意したことは?

まずは原作を大事にしようと思いました。マンガを読むと、そこにはあらゆる感情が表現されているなと感じたんです。20代女性が体験する恋愛あるあるとか。その辺は1つ1つ丁寧に掘っていこうと思いました。

 

 

―――誰か女性にアドバイスを聞くことはあったんですか?

ちょうど撮影の時期に、多部未華子さんが主人公の志乃と同じ25歳だったので、脚本を読んで、どう思ったのかというのは聞いてみましたね。

 

 

―――アドバイスしてもらう相手としてはぴったりですね!

多部さんには、脚本に落とし込んだ主人公の行動やセリフに対して、実際の25歳の女性として観たとき、ウソや違和感はないかということを確認しました。あとは率直に、僕自身が疑問に思ったことを聞いてみたりもしました。それで、こういうことはしないと思いますとか、意見をもらって試行錯誤しながら組み立てていきました。

 

 

 

マンガと実写の違いを意識する

―――お芝居の部分で意識したことはどんなことですか?

マンガと実写の違いの部分については意識しました。マンガは表現が自由ですからね。いくらでもいろんなタッチで描けるんですけど、それを現実に擬態化すると、必ず無理が生じる部分が出てくるので、悪い意味で漫画チックにならないよう、上手くリアルに落とし込むにはどうすればいいかというのは意識しました。

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―――例えばどんなことですか?

お芝居をするときに、演技のサイズが大きくなり過ぎないようにというところです。

 

 

―――サイズとは?

テンションとか、大げさになり過ぎないようにということです。最初、台本を皆で読んで、リハーサルをやったときには、お芝居がすごくスピーディにパンパンパンと進んだんですけど、この作品は、そういう陽気でラブコメ的な雰囲気は違うなと思ったんです。そこからは、お芝居の余分なところは削っていきました。

 

 

 

一般人のリアルに近づけるために…

―――リアルな人間の温度に近づけたという感じでしょうか?

そんな感じです。今の若い俳優さんって、すごく演技が上手くてセリフをしゃべるのも早いんですよ。行間を空けずに喋れる。それはすごく表現慣れしていて良いことでもあるんだけど、リアルな一般の人間は違う。それをリアルに近づけるために“もう少しゆっくり、ゆったり喋って”ということは言いました。

 

 

―――確かに、あまりにスムーズな日常会話はリアルじゃない感じがしますね

そう、ましてや恋愛関係で微妙な立ち位置にいる2人なら、互いに心の探り合いがある分、会話の間が必要だろうと。そういった意味もあって、そういう演技にしてもらいました。

 

 

―――役者の方達にとっても、あえて演技を抑えるというような、普段とは違うものが求められたんですね

僕も最初は、役者それぞれの個性を活かしたいと思っていたし、マンガの面白さをコメディとして展開できたらなと思っていたんです。だから最初はむしろアッパーなラブコメをイメージしていたんです。でも途中から、恋愛というテーマに集中して肉体化したら、アッパーな感じだけではないと気づきました。

 

 

 

■「ピース オブ ケイク」情報

*ブルーレイ&DVD 2月2日発売

監督:田口トモロヲ

脚本:向井康介

音楽:大友良英

出演:多部未華子、綾野剛、松坂桃李、木村文乃、光宗薫

発売元:ハピネット/パルコ

販売元:ハピネット

(C)2015 ジョージ朝倉/祥伝社/「ピース オブ ケイク」製作委員会

公式サイト:http://pieceofcake-movie.jp/

 

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