この話は、恋愛版の『仁義なき戦い』だ! 『ピースオブケイク』田口トモロヲ監督(1/4)
今回のインタビューは、俳優・映画監督・ナレーターなど幅広い分野で活躍を続ける田口トモロヲ監督。そんな田口監督が描いた今作は…“25歳女のリアルな恋愛”!「仕事も恋愛もちゃんとしたい!」と意気込む主人公・志乃が、アパートの隣人でバイト先の店長でもある京志郎と恋に落ちていくラブストーリー。自分で自分の気持ちを整理できないまま、どんどん突っ走って、混沌の海に飲まれていく様子が印象的です。
ジョージ朝倉さんのコミック『ピースオブケイク』を原作に、去年、実写映画化された今作は、2月2日にBlu-rayとDVDがリリースされます! 第1回目のインタビューとなる今回は、なぜこの作品を映画化することになったのか、その経緯と、当時の心境についてお聞きしました!
■オジサンが25歳女性の恋愛を描くのはムチャ振り?
―――25歳女性のリアルな恋愛がテーマの作品ですが、あらためて、なぜこの作品を映画化することに?
もともとは、映画のプロデューサーから“こういう漫画があるんですけど”という紹介を頂いて、“映画化したいと思っているんですけど、監督どうですか?”と言われたのがキッカケです。
―――原作のことは知っていたのですか?
いえ、作者のジョージ朝倉さんのことはもちろん知っていたんですけど、『ピースオブケイク』は読んだことがありませんでした。なので、まずは読ませて頂いてから考えさせてくださいと言いました。読む前の感想は正直…50過ぎたオジサンが、25歳女性の恋愛を描くのはやっぱり“無茶ブリ”なんじゃないかと思いましたけど(笑)。
―――読んでみて感想はいかがでしたか?
全5巻読んだのですが…読み進めて行くうちに、作品を彩る街並みだったり劇団だったりといった東京のカルチャーを見ると、自分も影響を受けたものが多かったので、その同族意識を入り口に話を広げていけば、この恋愛模様も描けるんじゃないかと思って最終的にやらせてもらいました。
■『ピースオブケイク』は恋愛版『仁義なき戦い』だ!?
―――監督はこの作品を“恋愛版仁義なき戦い”と捉えていらっしゃると伺いましたが…
まあ、それは1つの例えで(笑)。“仁義なき戦い”と言ったのは、朝倉さんの原作を読んだときに、登場人物の名前が『仁義なき戦い』に出てくる俳優さんの名前と気づいて、それで朝倉さんも『仁義なき戦い』が好きなのかなと思ったんです。僕にとっても『仁義なき戦い』は影響を受けたシリーズの1つなので、自分の好きなものを作品に滑り込ませることは素敵だなと思ったんです。そんな想いから、もしかしたらこの話は、恋愛版の『仁義なき戦い』なのかなと思って言いました。
―――そういうことだったんですね
もちろん表現とかは変わっていくとは思っていましたが、そういうスピリットで描けたらとは思いました(笑)。
―――実際、作中では仁義なき戦いは展開されましたか?
そうですね~、ラストのシーンで、逃げる主人公の志乃を京志郎がつかまえて、男女のトークバトルが始まる、そこで、(銀杏BOYZの)峯田くん演じる千葉の歌が流れるというシーンがあるんですけど、そこは『仁義なき戦い』という感じがしますね(笑)。
―――2人がお互い溜めていた感情が一気に爆発した瞬間ですね
そのシーンは(『仁義なき戦い』でもおなじみの手法)「手持ちカメラ」で撮影したので…もっと臨場感を出すために、もっとカメラを揺らそうかという話もしたんですけど、これ以上揺らしたら見てる方がわからないですよって言われてやめたぐらい熱いシーンになりました。
■恋愛って戦いですか?
―――逆に僕が聞くのもなんですが、恋愛ってやっぱり“戦い”なんでしょうか?
どうなんでしょうね(笑)。まあ、いろんなケースがあると思うんですけど、この作品で描かれた志乃と京志郎は、たまたまそういう戦いというカタチになってしまったんじゃないかなと思います。
―――たまたま?
たまたまでもあり、必然だったとも言えますね。あかりという恋のライバルがいて、流れとしてそうなるようなキャラクターは揃っていましたから。
(ガタっ)
―――今、後ろのポスターが落ちましたね…
あれ? 戦いじゃなかったのかな? ポスターからのツッコミですかね(笑)
(1/4)『ピースオブケイク』田口トモロヲ監督 この話は、恋愛版の『仁義なき戦い』だ!
(2/4)『ピースオブケイク』田口トモロヲ監督 マンガと実写の違いを意識しました
■「ピース オブ ケイク」情報
*ブルーレイ&DVD 2月2日発売
監督:田口トモロヲ
脚本:向井康介
音楽:大友良英
出演:多部未華子、綾野剛、松坂桃李、木村文乃、光宗薫
発売元:ハピネット/パルコ
販売元:ハピネット
(C)2015 ジョージ朝倉/祥伝社/「ピース オブ ケイク」製作委員会