たった5分で感動体験!『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』代表 別所哲也さん(1/4)
「ショートショート フィルムフェスティバル」誕生秘話&10月のシネマミュージアム!
俳優でありながら、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF)の代表としても知られる別所哲也さん。今年で17回目を迎えたSSFFは、2004年に米国アカデミー賞にも公認され、日本だけではなく、海外からも毎年4000本以上の応募がある、今や若手映画クリエイター達の登竜門となっています!。
今回は、そもそもなぜ「ショートフィルム」の映画祭を作ろうと思ったのか? その誕生秘話と、今年秋に開かれるシネマミュージアムについてのお話伺いました。
■成功する確信はありました
―――まずは、別所さんと「ショートフィルム」との出会いは?
ボクの映画デビューがハリウッドで(『クライシス2050』)、撮影のためにロサンゼルスに1年半ほどいたときショートフィルムと出会いました。そのときアメリカでは、当たり前のようにショートフィルムの話が出ていたんです。そこで「ショートフィルム」というカテゴリーがアカデミー賞にもあるんだって知りました。
―――プロの映画人の間で話題になっているという事実にインパクトがあったんですね
そうですね。向こうでは「ショートフィルム」は、学生のための登竜門という位置づけだけじゃなく、各地で様々なカタチの映画祭があるほど認められたものでした。例えばコロラドのアスペンという有名なリゾート地とか、カリフォルニアのパームスプリングスっていうところとか。もちろんロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークとか、都市部も含めてどこにでも映画祭があったんです。
それから僕もショートフィルムってなんだろうって、興味と疑問が沸いたんです。実は僕も最初は、短編映画というのは学生が撮るもので、あまり映画としてカタチにはなっていないものだという先入観があったんです。でも、実際に作品を見てみると非常に面白くて…忘れもしない1997年の秋口、友人に誘われて渋々、上映会に行ったんですけど、立て続けに10本観て感動しました。それ以来、映画は長さじゃないと思って、その魅力を伝えたくて、日本で映画祭を作ろうと思ったんです。
―――当時、日本では「ショートフィルム」の知名度はどんな様子でしたか?
ほとんどなかったんじゃないかな。当時はネットもなかったし、撮影も今みたいにデジタルじゃなかったから。映画を撮ること自体ハードルが高かった。35ミリフィルムにしても、16ミリフィルムにしても、限られた人達がお金を掛けて作る世界だったんです。
―――そんな中で立ち上げた「ショートフィルム」の映画祭。反応はどうでした?
最初は厳しかったです。「何でそんなことやるの?」って人も多かったですね。でも成功する確信はありました。なぜかというと、やっぱり自分が「ショートフィルム」を観た時に、たった5分でこんなにも心を動かされるんだっていう感動があったから! こんな短い時間で、泣いたり笑ったり、ドキッとしたり、驚いたりできるんだなって。こういう映画体験を自分が作れたら共感してくれる人は多いと思いましたね。まさにコペルニクス的転回でしたから(笑)。
そもそも映画の尺(長さ)にはいろんなものがあるってこと自体を知らない人が多かったですから…その違いを知ってもらえば浸透していくと思っていました。実際、向こうではジョージルーカスとか、スピルバーグとか、クエンティン・タランティーノとか、有名監督達も短編映画からスタートしていて、そこを目指している若い人たちも短編映画から撮り始めていたから。当時、音楽業界のMVなんかも、ショートフィルムから技術とか作法とか取り入れていましたし。
―――別所さんが映画祭を立ち上げるにあたって参考にしたモノってあるんですか?
あと、僕に1番影響を与えたのはロバート・レッドフォードがやり続けているユタ州での「サンダンスフィルムフェスティバル」という映画祭ですね。彼は俳優という立場で、映画の未来地図を作るために、映画祭だけじゃなく、サンダンス・インスティテュートという映画のクリエイター達が集まれる場づくりもしているのを知って、こういうことやりたいなと思ったんです。
―――別所さんも実際にご覧になったんですか?
僕が行ったのは1998年の1月だったんですが、当時、まだ有名になる前のベン・アフレックとか、ちょっと有名になり出したクリスティーナ・リッチとか、既に有名だったスパイク・リー監督とかが、有名無名関係なく、ワイワイとコーヒー1杯で話してる姿を見て、本当に良いなと思いました。映画祭は、こういう風に新たな価値も生み出せる場所なんだって…
■「ショートショート フィルムフェスティバル」、今年のカラーは「戦争」「争い」!?
―――今年の6月「ショートショート フィルムフェスティバル」は17回目を迎えましたが、今年はどんなカラーになりました?
う~ん、1つのカラーとは言えないですけど、大きな軸として、戦後70年という節目の中、やっぱり「戦争」や「争い」というテーマは多かった気がします。人はどうして対立してしまうのか、わかり合えないのか、そういう部分はプログラムの中でも意識したし、現れていたかなと思います。
―――多くの人々が関心を持つテーマですね。
9.11以降、世界的にも大きなテーマです。日本では3.11以降は、「家族」とか「絆」とか「分かち合う」とかそういうテーマがクリエイター達の意識の結晶として出てきていると感じます。やっぱり個々がアンテナを持った人達なので、そういう周りに対する目線が作品の在り方にリンクしているのかもしれないですね。
―――世界中の人が意識の中で求めていることを作品として表現しているんですね
なんとなく複雑になっている今の社会で、我々はどうハッピーに暮らせるのか? 放っておいても平和が続くわけでもない。このままだとやばいかもという実感や体感を自然と感じ取っているのかもしれないですね。
■10月には秋の特別上映会が開催!
―――6月のフェスティバルを見逃した方が観る方法、ありますか?
はい、毎年やっているんですが、10月にも「シネマミュージアム –秋の特別上映会-」というイベントがあります。
―――どんな作品が見られるんですか?
6月にグランプリを獲った作品を始め、珠玉のプログラムを無料で楽しめます。ぜひ皆さんには「シネマチックトラベル」という、映画を通して旅をした気分になれる楽しい時間を過ごして欲しいですね。
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■「シネマミュージアム –秋の特別上映会-」情報
*2015年10月14日(水)~18日(日) 東京都美術館
*2015年10月13日(火)~16日(金) アンダーズ東京
主催:ショートショート フィルムフェスティバル アジア実行委員会
共催:東京都
SSFF & ASIA オフィシャルサイト:www.shortshorts.org
ブリリア ショートショート シアター:http://www.brillia-sst.jp/