1億円プレイヤーが早く出て欲しい! テリー伊藤が熱っぽく語った...ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016 アワードセレモニーレポート(後編)

ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016(SSFF&ASIA)オフィシャルコンペティションの応募数は、インターナショナル部門=4314作品、アジア・インターナショナル部門=807作品、ジャパン部門=344作品と、実に膨大な数。その中から選ばれた優秀賞が発表されると、会場は歓声と拍手に包まれました。

 

 

 

■アジアインターナショナル部門 『キープ・ゴーイング』(ゴン・キム監督)

アジアインターナショナル部門優秀賞は、ゴン・キム監督『キープ・ゴーイング』。主人公ヨニは移植を受けた人工心臓が壊れ、ロボットのマゴと繋がることで生きながらえていた。離れることができない2人は、生きるために国境へ向かう―――。実は韓国芸術総合学校の卒業制作として作られたこの作品に対して、キム監督は「まず、お母さんに会いたいです。受賞すると分かっていたらもうちょっとかっこいい服で来たんですけど、今日はこんな感じで来ちゃいました」と会場の笑いを誘いつつ「卒業して私のキャリアを始めるいいきっかけとなりました。ありがとうございます」と感謝の言葉を述べました。

 

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■ジャパン部門 『眠れない夜の月』(八代健志監督)

ジャパン部門優秀賞は、八代健志監督の『眠れない夜の月』。森の中に暮らす少年とその家族のもとに「月のリス」が突然現れ、高い木に引っかかった月を外しに行くと言う。このままでは永遠に夜のまま…暗闇の森の中で、少年とリスの月を探す冒険が始まる――。TVCMなど広告映像で活躍し、美術制作やアニメートも手掛ける八代健志監督は・・・「美術製作、人形作りに始まり、照明、撮影まで本当に少ない人数で1年ぐらいかけて作りました。まずそのチームのメンバーにお礼を言いたいと思います。それから、この作品のテーマの「冒険」とか「帰る所がある」といったアイデアのもとやモチベーションをくれた、僕の息子と妻と両親に感謝したいと思います」と喜びのコメント。

 

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■インターナショナル部門優秀賞・グランプリ 『合唱』(クリストフ・デアーク監督)

インターナショナル部門優秀賞は、クリストフ・デアーク監督『合唱』。転校したばかりのおとなしい10歳の少女ジョフィーは校内で有名な合唱団に入り、人気者のクラスメイト・リザと仲良くなる。ほどなく彼女たちは一致団結して、指揮者の先生に立ち向かうことになる―――。

 

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ロンドン、ブタペストを拠点に活動するデアーク監督は「立派なトロフィーだからフライトをアップグレードしないと持っていけないかも」と満面の笑顔で、「私の素晴らしいクルー、役者たち、とくに出てくれた子供たちはみんな喜ぶと思います。審査員の方々、私の映画を気に入ってくれてありがとうございます。素晴らしい映画祭で、今まで行った中でベストです!」と感謝のコメントを述べました。

 

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優秀賞の監督に送られるトロフィーは、150年以上の伝統を誇るボヘミアガラスの最高峰・モーゼル社の製品で、その輝きもひとしお。また副賞として、セイコーホールディングス株式会社代表取締役会長兼グループCEO服部真二氏より、世界初のGPSソーラーウォッチ「アストロン」が贈られました。

 

 

 

■審査員コメント

素晴らしい短編映画の数々に、プレゼンターとしても登壇された審査員の方々のコメントも熱が入っており、大きく心を動かされたことが伝わってきます。

「素晴らしい作品がたくさんありましたが、“ショートフィルムの有意性”という審査カテゴリに達している作品が少なかったように思われます。長編映画との違いをもう少しクリアにしていけば、ショートフィルムという分野がビジネスに変わっていくのではないか。エンターテイメント性がなければ数多くの人に観てもらえず、長編映画を作るためのサンプルのようなもので終わってしまう。そこにショートフィルムならではのエンターテイメント性を加えることで新しい分野になっていくのではないかと思います」(俳優の加藤雅也さん)

 

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「3作品とも大好きな作品でした。監督の思い、表現のこだわり、そして『なぜそのテーマで作品を作られたか』がすごく良く分かり、そこに短編映画の強さというものがあるのかなと感じました」(女優の黒木瞳さん)

 

「驚くぐらいクオリティの高い作品がたくさんありましたし、選に漏れた作品の中でも大好きな作品もありました。短編映画は素敵な表現形態だと改めて感じましたし、プロ・アマ問わずこういう作品を世に出して何より国同士で観合うというのが、お互いに刺激になっていいのかなと思いました。中でもこの3作品はジャンルもバラバラなのですが、プロとして世界に出してもおかしくない極めてクオリティの高い作品だったし、観られた僕のほうが感謝したいぐらいでした」(映画監督の佐藤信介さん)

 

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「熱い思いの中でみなさん作っているので、こちらも真剣に観させてもらいました。国によって経済状況、豊かさ、貧しさ、性的な状況などいろんな問題があり、そうか、この国ではこんな作品を作っているんだという背景が見えました。こちらに残った3作品は見事な作品です。ただ残された作品の中にも、私達の感性では捉えきれなかった、でも素晴らしい作品がたくさんありました。ぜひそのほかの作品もみなさんに観ていただきたいと思うのと、ショートフィルムの監督の中から1億円プレイヤーが早く出て欲しい」(演出家のテリー伊藤さん)

 

「来られて非常に光栄です。(作品の)幅広さに驚き、みなさんの鋭い目線の表現力、優れた映像技術、そして監督それぞれの素晴らしいヴィジョンを最後まで尽くした所が非常に素晴らしかったです」(サウスバイサウスウエスト映画祭・ショートフィルムプログラマーのクローデット・ゴッドフリーさん)

 

さて、感動的なアワード発表をお届けしましたが、実はSSFFの魅力はこれだけではなく、連動するプロジェクトが続々と始動しているのです…! 次回はそのプロジェクトをご紹介します。

 

ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016は6/26(日)まで開催中です。もちろん、オフィシャルコンペティションの受賞作品も上映中! 詳しい上映スケジュールはこちらまで!

 

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