「お客さんに疑われると映画として負け」藤原竜也、伊藤英明が気にしたのは「芝居の加減」
『22年目の告白-私が殺人犯です-』入江悠監督インタビュー(4)
美しき殺人犯・曾根崎を演じるのは藤原竜也さん。対する刑事・牧村役は伊藤英明さん。そして事件の真相を追求するジャーナリストに仲村トオルさんと、豪華なキャストが顔を揃える今作。物語のプロットは、みなさんの繊細な芝居に支えられていました。
(C)2017 映画「22年目の告白−私が殺人犯です−」製作委員会
■藤原竜也、伊藤英明が気にしたのは“芝居の加減”
-藤原竜也さんが怪演を見せていますが、現場ではどんなお話をされましたか?
ほとんど芝居の話はしませんでしたね。藤原さんにしても伊藤英明さんにしても、この脚本に乗ってくださっていたので。
-役になりきっていたのですね。
ただ、登場人物にみんな裏側があり、一面性だけでなく多面性があったりするので、この芝居の時には「裏側をどこまで出すか」ということは、すごく相談されました。どんでん返しがいくつか用意されているので、いつその情報を出すのかというのが大事だったので。
(C)2017 映画「22年目の告白−私が殺人犯です−」製作委員会
意図しないところでお客さんに「コイツ胡散臭いな」とか「違うんじゃないか」と思われると、映画として負けなので、どこまでその思いを出すべきかとか、まだここでは隠しておくべきじゃないかとか、そこの芝居の加減はずいぶん気にされていましたね。
-藤原さんは今回、ずいぶん抑えた芝居が印象的でした。感情を爆発させるというより、見られていることを意識されているようで。
(C)2017 映画「22年目の告白−私が殺人犯です−」製作委員会
抑えてましたね。一番最初のクランクインはホテルの一室のシーンで、「声ちっさ!」と思ってびっくりしましたけど(笑)。でもそれは脚本がしっかりあったので、安心して抑制された芝居をされていたんだなと思って。叫んだりする芝居って注目されがちですけど、今回はそんな芝居はないですからね。役柄についても、藤原さんのこれまでの芝居を知っている方なら、さらに楽しめると思いますね。
■記者役までオーディションで選び、半年に渡るレッスンでリアルを追求
-役名もないようなテレビ局のスタッフ役の人々もすごくいい表情をされていて、すみずみまで手を抜かない演出が見て取れました。
記者役の俳優には実際にワークショップを受けてもらって、カメラの持ち方や取材の仕方を身につけてもらったんです。その場で来ていきなりやってもらってもウソになっちゃうんで、半年前ぐらいから定期的にレッスンをやるようにして。日本映画だとそんな役はエキストラになりがちだけど、全部オーディションで選んで決めたんですよ。
-そこまで細部までこだわるのはなぜ?
さっきの震災の話とも通じるんですけど、その仕事をされている方に失礼ですよね。あと、そういう仕事を知らないお客さんでも、ふっと違和感を感じて冷めたりすることもあるので。僕も自分が観客の時には、エキストラの芝居で冷めたりすることがあるんで、それは嫌だなと思って。
■日本で大作を作ることへのこだわり
-インディペンデントから映画キャリアを始められた入江監督ですが、日本で大作を作ることへのこだわりやビジョンをお持ちなのではないでしょうか?
子供の時に観ていた好きな映画がハリウッドの大作だったので、そういうものにすごく憧れがあるんですよね。でもやってみると、やっぱり日本では『ターミネーター』は作れないなというところがあったりして(笑)。それがようやくこの作品で、自分で理想や目標としていたものと、日本映画のメジャーの環境というのがようやくフィットしてきた感じがあります。
やる気のあるスタッフもいっぱいいるし、藤原さんや伊藤さんみたいに、まだまだ行けるんじゃないかと思える俳優さんもいっぱいいるので、日本映画の“メジャー”もこれから少しずつ変わっていくんだろうなという気はしますね。
-では最後に、これから観る人にひとこといただけますか?
まずは、「結末を言わないでください」ということですね(笑)。あと、実はこの時に既にこういう情報を出していたという“仕掛け”もしているので、2回観ていただいても面白いと思います!
『22年目の告白 -私が殺人犯です-』公開情報 6月10日全国ロードショー
監督:入江悠
脚本:平田研也 入江悠
出演:藤原竜也 伊藤英明 夏帆 野村周平 石橋杏奈 竜星涼 早乙女太一 平田満 岩松了 岩城滉一/仲村トオル
公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/22-kokuhaku/