架空にせず「ニコ生」「Twitter」に許可を取った意味とは?
『22年目の告白-私が殺人犯です-』 入江悠監督インタビュー(2)
社会的な風潮を入れ込んだ物語づくりが好きだという入江監督。今作では、YouTubeやニコ生などのインターネットメディアやSNSを介して情報が拡散する様子が頻繁に描かれます。そのメディア名が現実と同じ名前なことにも、監督ならではのこだわりがあったのです。
(C)2017 映画「22年目の告白−私が殺人犯です−」製作委員会
■映画には、その時代に作る意味がある
-原作からの変更点としては、インターネットやYouTubeといったメディアの話をたくさん盛り込んでありますが、そこは意識されましたか?
もともと、社会的な世相や風潮を入れるのが好きなんです。映画ってフィクションだとしてもドキュメンタリーだと思っているところがあって、その時代に作る意味というものがあると思うんですよね。10年後に観た時にSNSとかが陳腐化している可能性もあるんですけど、それも含めて、映画って歴史と共にあるので。
昔の今村昌平監督の映画を観るとその時代が分かったりしますし、そういう意義があるとも思っています。そういう意味では、全部本当の名前で出したいと思い、「ニコ生」とか「Twitter」とかは、全部許可を取ってもらいました。
報道も、以前は新聞とTVだけだったのが少しずつ変わってきていて、その過渡期に作るという意義もありますし。世間を騒がせる犯人が出てくるというテーマと結びついている部分だと思って、けっこうこだわりましたね。
-テレビ局が出資している映画にも関わらず、メディアがシニカルに描かれています。
プロデューサーは「これはけっこうメディア批判が入ってますね」と言ってましたけど(笑)。でも最近は、ハリウッド映画もすごくチャレンジしていて、現政権の大統領をシニカルに扱ったりしているじゃないですか。日本もそういうのが増えたらいいのになと思いますね。
-Twitterなどで事件が拡散すると、社会的制裁にも繋がりがちです。今作でも、民衆の怖さも描かれていたように思えます。
民衆は基本的に怖いものだと僕は思っているので(笑)。人混みも苦手で、人が大挙して同じ方向に流れるのとかがすごく怖いんですよ。それで一時期、SNSも全部やめてたんですけど、そこにあるひとつの闇みたいなものも、やはり時代ならではだと思うので、無視できないですよね。
『22年目の告白 -私が殺人犯です-』公開情報 6月10日全国ロードショー
監督:入江悠
脚本:平田研也 入江悠
出演:藤原竜也 伊藤英明 夏帆 野村周平 石橋杏奈 竜星涼 早乙女太一 平田満 岩松了 岩城滉一/仲村トオル
公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/22-kokuhaku/