時効を迎えた殺人犯による驚愕の告白『22年目の告白-私が殺人犯です-』

『22年目の告白-私が殺人犯です-』入江悠監督インタビュー(1)

「はじめまして、私が殺人犯です」

かつて日本を震撼させた凄惨な連続殺人事件が、未解決のまま時効を迎えた。その犯人が事件から22年後、突然みずから名乗り出る。顔をさらした殺人犯の登場にネットは熱狂。犯人が書いた告白本はベストセラーとなり、賛否両論を呼ぶ彼の存在はあらゆるメディアで拡散されていく――。

th_サブ.jpg

(C)2017 映画「22年目の告白−私が殺人犯です−」製作委員会

 

『SR サイタマノラッパー』『ジョーカー・ゲーム』の入江悠監督が、映画『殺人の告白』大胆な脚色を加えた極上のサスペンスエンタ―テイメント!!ショッキングな内容と緊張感のある展開で、観客の心を巧みに操る疾走感のある映画に仕上がっている。

 

今回のインタビューでまずお聞きしたのは、プロット作りへのこだわり。監督が何度も口にしたのは「日本で作る意味」でした。

 

■日本で作る意味を探り、原作に勝つつもりで作った

th_DSC02879.jpg

-最新作がサスペンスミステリーというのは意外でした。

ミステリーが昔から好きなんですよ。物語の基本って、探偵物だったり謎解きだったり、やっぱりミステリーだったりするじゃないですか。僕もヒッチコックとかがすごく好きだったので、それがこういう題材でできたというのがうれしいですね。

 

-原作がある物を手がける時に、気をつけていることはありますか?

今回はかなりオリジナルに近いんですけど、自分が好きになった時の感情だけ信じていればいいと思っていて。ディテールは変えていいんじゃないかと思っているので、ビジュアルや物語の運びは自由に作っています。

 

-今回は、元になった作品を意識されて「勝つ」つもりで作られたのだとか!

そうですね(笑)。僕も韓国映画がすごく好きで、この作品も映画館でたまたま観たんですけど「すごい映画だな!」と思っていたのですが、それがまさか自分のところに日本での映画化の話が来るとは思っていなくて(笑)。で、どうするか考えた時に、韓国版はアクションがすごいんですけど、あのアクションを日本でやってもダメだなとは思ったんです。この作品でいちばん魅力的なところは中盤のどんでん返しなので、その面白さを頼りに「日本で作る意味」というのを探って、今の形になったんですよ。

 

-脚本は37稿まで重ねられたそうですが、不自然にならないよう現実感を大切にされたということでしょうか?

そうですね。あとは、過去と現在という対比で1995年を設定したんですけど、その整合性も気にしました。「時効」とか法律的な部分も、いろんな監修の先生に話を聞きに行ったりして、そこですごく時間がかかりましたね。

 

th_『22年目の告白』相関図.jpg

「22年目の告白−私が殺人犯です−」人物相関図

 

■リアリティに根ざしたアクションを作った

-アクションの部分でもオリジナリティが加わったものを作られていますが、そこへのこだわりは?

個人的に昔からジャッキー・チェンとかのアクション映画はすごく好きなんですよ。でも香港映画的なアクションは、日本でやるのは相当ジャンルが選ばれるし、作品に合ったトーンというものがあるんですよね。

 

以前、亀梨くん主演で『ジョーカー・ゲーム』というアクション映画を撮っていて、その時にアクションというものをちゃんと勉強する機会があって。じゃあ今、日本でやるべきアクションとは何なんだろうと考えた時、何かリアリティに根ざしたところのあるアクションがいいなと。

 

-エンターテインメントというより、リアリティのある生々しいアクションを目指したと。

そうですね。アクション映画って、映画そのものの歴史とほぼ同じ歴史を持つというか、昔はタレント映画って、バスター・キートンにしてもハロルド・ロイドにしてもチャップリンにしても、ほぼアクションじゃないですか。そんなふうに「人間が動いて事件が起こる」というのが、もともとすごく好きで。そういう意味では、元になった『殺人の告白』をよりギュッとタイトにして、アクションを作ったと思います。

 

【入江悠監督インタビュー】
(1)(2)(3)(4)

 
 

 

『22年目の告白 -私が殺人犯です-』公開情報 6月10日全国ロードショー

監督:入江悠

脚本:平田研也 入江悠

出演:藤原竜也 伊藤英明 夏帆 野村周平 石橋杏奈 竜星涼 早乙女太一 平田満 岩松了 岩城滉一/仲村トオル

公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/22-kokuhaku/

 

Related Post

インタビュー

2017.06.07Wed

架空にせず「ニコ生」「Twitter」に許可を取った意味とは?

『22年目の告白-私が殺人犯です-』 入江悠監督インタビュー(2) 社会的な風潮を入れ込んだ物語づくりが好きだという入江監督。今作では、YouTubeやニコ生などのインターネットメディアやSNSを介して情報が拡散する様子が頻繁に描かれ...
インタビュー

2017.03.20Mon

思った以上にうまく行った、染谷将太演じる二海堂 『3月のライオン』大友啓史監督インタビュー

主人公の桐山零役・神木隆之介さんをはじめ、佐々木蔵之介さん、伊藤英明さん、豊川悦司さん、そして特殊メイクで臨んだ染谷将太さんたちが演じるプロの「棋士」の濃いキャラクターも、この作品の魅力です。第2回では、棋士を演じたキャストについて...