木村大作キャメラマンと降旗康男監督の「あ、うん」の呼吸
9年ぶりにタッグを組んだ日本映画界の“黄金コンビ”降旗康男監督と木村大作キャメラマン。『駅 STATION』(81年)をはじめ、『居酒屋兆治』(83年)、『夜叉』(85年)、『あ・うん』(89年)、『鉄道員(ぽっぽや)』(99年)、『ホタル』(01年)、『単騎、千里を走る。』(06年)と、高倉健さんを主演に据えた作品は、今でも多くのファンの心を掴んでいます。
(C)2017映画「追憶」製作委員会
16本目のコンビ作となる『追憶』、現場での撮影は、どのように進んだのでしょうか? そして降旗監督が、今の映画界に思うこととは…?
■監督とキャメラマンというのは、そういう関係にならないとうまくいかない
(C)2017映画「追憶」製作委員会
-今作では、これまでも『駅 STATION』(81年)や『鉄道員(ぽっぽや)』(99年)などの名作を生み出してきた木村大作キャメラマンと再び組まれました。木村さんが演出に関してアイデアを出されることはあるのですか?
それはケース・バイ・ケースですね。ロケーションのアイデアなどを、実務的に指摘したりといったことですね。予算の折り合いがつかなければアイデアでカバーしたり、現実的に判断してということですかね。
-今まで一緒にお仕事をされてきて、その判断の部分は完全におまかせしているのですか?
そうですね。
撮影現場で指示を出す降旗康男監督 (C)2017映画「追憶」製作委員会
-そういったやり取りを経て、あの美しい画が撮影されたのですね。富山県の能登半島でのロケーションの夕日や荒波、そして雨や雪が激しく降るシーンでは、厳しい自然環境が登場人物の心情を映し出しているようで、印象的でした。
日本海の荒波なんていうのは、来るまで待っていなければいけませんから。夕日もそうですよね。まあ、その「待つ」というのも、映画撮影の楽しみでもあるのですが。
カメラをのぞく木村大作キャメラマン (C)2017映画「追憶」製作委員会
-木村キャメラマンとはこれまで一緒にお仕事をされてくる中で、確固たる信頼関係を築かれておられますが、その関係に至るまでには何かきっかけがあったのですか?
いえ、それはきっかけといったものではなくて、1本目(『駅 STATION』)を一緒にやったときにそうなったんです。それ以来ずっと、1本目の時と同じように続いているということだろうと思います。
-ということは、1本目の『駅 STATION』が、ある意味、運命の出会いだったのですね。
そうかもしれませんね。でも、映画作りにおいて監督とキャメラマンというのは、そういう関係であるべきですよね。そういう関係にならないと、うまくいかないんじゃないかなと思います。
-野球でいうと、ピッチャーとキャッチャーのような関係ですか?
はい、そうですね(笑)。
【『追憶』降旗康男監督インタビュー(全4回)】
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(3)木村大作キャメラマンと降旗康男監督の「あ、うん」の呼吸
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