地下アイドル×中年男 異色の題材で長編監督へ名乗りを上げる『堕ちる』村山和也の挑戦
インディーズムービーと思えない映像クオリティにアコーディオンの曲が重なり物語の寓話性を予感させ、思いもよらないラストに至る…『堕ちる』。この作品は、長編映画を撮りたいと想い続けている村山和也監督が、これまで映像の仕事で培ったノウハウを注ぎ込み、長編監督へと名乗りをあげるための集大成なのだ。
■コネもスキルも…自分の力はすべて注ぎました!
-記念すべき1作目ということで、やはり全力で臨まれたそうで。
そうですね。注げる自分の力はすべて注ぎましたし、コネも使いました(笑)。スキルという部分では、途中で出てくる空の雲も僕が描いてます。ほかにも、あるシーンは合成で作っているんですけど、体の半分を別で合成したりしています。
-そうなんですか!? ああいった特殊効果もご自身で?
そうです。クレジットには書いてないですけど、編集とか合成もやっているんですよ。MVは予算のない仕事もあってそんなにスタジオにも入れないので、自分でマックでやったりする技術も自然と身に付いていて(笑)。そのへんは僕の仕事の集大成としての側面もあるので、劇場公開まで行ったのは僕としてはありがたいことですね。
あと、純粋に自分が面白いと思うものを作って受け入れられたので、間違ってなくてよかったというのもあります(笑)。請け負った仕事なら、クライアントがOKを出しますけど、映画だとすべてが自分に委ねられるので。それは最高ではあるんですけど、怖くもありますよね。それで点数をつけられるわけですから、残酷な世界に来てしまったなというのはあります(笑)。
-『堕ちる』に影響を与えた作品をあえて挙げるなら?
1本挙げるなら、僕がベスト級に好きな作品で『不安は魂を食いつくす』(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督/74年/西ドイツ)。これは元ナチスのおばあちゃんがモロッコからの出稼ぎ労働者と恋をするみたいな話で、話はとてもシンプルなんですが、主演二人の設定を面白くするだけで、その時代のドイツの社会問題などが色々浮き彫りになっていて、すごく感銘を受けた作品です。
-今後はどんな作品を作っていきたいですか?
次は長編ですね。1個明確なネタはあるんですけど、テーマとしては、皮肉の効いたもの、社会性を含んだものに惹かれます。あとはハッピーエンドというか上がっていく話がいいなと思いますね。堕ちていきながらも実は上がっていくとか。
-長編も楽しみにしています! 今日はありがとうございました!
【『堕ちる』村山和也監督インタビュー(全4回)】
(1)地下アイドルに恋した中年の物語『堕ちる』30分の短編が異例の劇場公開へ!
(2)地下アイドルにハマった主人公を演じ切った中村まことの存在感
(3)地下アイドル「めめたん」にハマる男に、監督自身が重ねた想い
(4)地下アイドル×中年男 異色の題材で長編監督へ名乗りを上げる『堕ちる』村山和也の挑戦
『堕ちる』公開情報
監督・脚本:村山和也
出演:中村まこと 錦織めぐみ 古川順 金子昌弘 水井章人 乗定裕 中島誠二 小保方裕哉 岡野絹恵 西山厚美
シネマート新宿(東京) 4月8日〜14日(監督とゲストによるトークショー付き)
★4/8(土) 19:30 中村まこと、錦織めぐみ(Luce Twinkle Wink☆)※初日舞台挨拶
★4/9(日) 20:30 宇多丸(RHYMESTER)
★4/10(月) 21:15 佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
★4/11(火) 21:15 福原香織(声優)
★4/12(水) 21:15 前口渉(作曲家)
★4/13(木) 21:15 鈴木亜香弥(衣装デザイナー/スタイリスト)
★4/14(金) 21:15 都築響一(編集者)
シアターセブン(大阪) 4月29日〜5月5日
4/29(土) トークショーあり。ゲスト:土佐和成(ヨーロッパ企画)
4/30(日) トークショーあり。ゲスト:酒井善史(ヨーロッパ企画)