映画がどんどん変化していく中で過ごした少年時代 『虎影』西村喜廣監督(3/4)
ハッピーターンを刀代わりに忍者特有の構え方を熱くレクチャーしてくださった前回。今回は…特殊造型のスペシャリストとして、小道具の発想法から…今の日本映画界に感じる疑問点についてお聞きしました!
―――監督自身ドキドキするようなアイデアってどうやって考えるんですか?
自分で考えるときもあれば、他の作品を参考にすることもあります。例えば先ほど話に出た「竹製パワードスーツ」の丸みを帯びたフォルムは、リドリー・スコットが撮った『エイリアン』の宇宙服のモコモコ感をイメージしてます。ぜひ、あのシルエットを出したいなと思って。僕のデザイン画にも、ちゃんと“エイリアンで出てきたような…”ってメモ書きも残ってます(笑)。
■ぜひ家族で見て欲しい作品
―――監督はアイデアを考えるときは、他の作品を参考にされるんですか?
う~ん、あんまり、何かアイデアを得ようと意識して見るわけではないですね。観た時に面白いものは自然と自分の中に消化されていってるという感じです。例えば、僕が最初に『東京残酷警察』という作品を撮ったときなんですけど、撮り終わったあとに、あらためて見ると“あれ?コレ…永井豪さんの『バイオレンスジャック』にすげえそっくりじゃん”って思ったことがありました(笑)。
―――無意識に出ちゃってたんですね
はい(笑)。デザインとか、観れば観る程『バイオレンスジャック』でした(笑)。元々、永井豪さんは大好きだったんですけど、人に言われるまで全然気づかなかったです。
―――この『虎影』では何か影響を受けたものはあるんですか?
『虎影』では、とんでも忍術という点では『赤影』のオマージュになっています。いや~、この『赤影』も大好きなんですよ!小学生の頃からずっと見ていたものなので。
―――どんなところが魅力ですか?
大人も子どももワクワクしながら楽しめる活劇ってところが良いですよね。普通、「忍者」ものの作品って、どちらかというと『ハットリくん』みたいに子ども向けに振るものも多いんですけど、そうじゃないんですよね。ちゃんと大人も楽しめる。だからこの『虎影』も、映画館から出たあとに、お父さんと子どもが二人同じ感覚で“楽しかったね”って言い合えるようなものを意識しました。
■映画がどんどん変化していく中で、過ごした少年時代
―――監督が特殊造型の道を志したキッカケは?
元々好きだったのもありますし、生きてきた時代というのも影響しているのかなと思います。僕が小学校6年生の時、ちょうど公開されたのが『スターウォーズ』だったんです。その辺りから特撮ブームが始まりました。
―――へぇ、映画界にとっても新たな時代に突入した時期だったんですね
そこから『ブレードランナー』とか『未知との遭遇』とかがあって…高校生のときにはスプラッターブームが起きました。ただその後、スプラッターブームは社会的な殺人事件とかが起きて叩かれちゃうんですけど。
―――そういうのはもったいないですね
盛り上がろうとしてるところ、何か事件が起こって下火になっちゃうのは残念です。そういう、世間の影響で見られなくなっている作風っていろいろあると思います。この『虎影』もちょっと意味は違いますが、今の子ども達が見ると、きっと変な感じに見えると思いますね。
―――確かに、いまの子ども達には新鮮に映りそうですね
僕の好きなシーンでもあるんですけど、『虎影』の中で、話の途中、急に関係のない外国人が “これについて説明しよう”って出てくる演出があるんですけど、今はないですよね。昔は普通にありましたけど。
―――昔はありましたね(笑)
しかも、外国人の設定なんだけど、確実に日本人だしね(笑)。でも、あんまり細かいことはいいじゃんってね。それが楽しいんですから!
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■「虎影」DVD情報
*ブルーレイ&DVD 1月6日発売
*ブルーレイ:\5,000(税抜) DVD:\4,000(税抜)
*発売元・販売元:ハピネット
監督:西村喜廣
出演:斎藤工、芳賀優里亜、しいなえいひ、清野菜々、津田寛治
(C)2014「虎影」製作委員会
提供:応援団
公式サイト:http://www.torakage.com/