『サマーウォーズ』制作秘話 脚本は細田監督との共同作業 脚本家 奥寺佐渡子さん(2/4)
脚本家になったキッカケから、小学生のときに書いた真の(?)デビュー作について伺った前回のインタビュー。今回は…奥寺さんが脚本を書く上でこだわっているという「意外性」をどう作っていくのか、具体的な作品作りの流れをお聞きしました!『サマーウォーズ』での細田監督とのウラ話も!
■脚本製作は監督との共同作業
―――前回、奥寺さんが作品を書く上でこだわっているのは「意外性」と仰いましたが、お客さんが求める展開と、自分が出したい「意外性」のバランスはどう取っていますか?
う~ん、長年この仕事をやってきましたけど、いまだに毎回探り探りですね(笑)。ここまで意外性出した方が面白んじゃないかと思って書いても、監督やプロデューサーから“ちょっとそれはやり過ぎ”って言われることもあります(笑)。“ガンガンいこう”って監督と合意がとれても、“ついていけない”ってお客さんにそっぽ向かれることもありますし。
―――脚本作りは、そうやって監督と話し合いながら進めていくんですね
脚本を書く仕事は、ほとんど監督やスタッフの方達との共同作業だと思っています。1人の思い込みで書くよりも、いろんな人の意見を聞きながらの方が良いものができますし。
―――私の勝手な想像ですが、脚本家や作家の方って、けっこうこだわりが強い頑固な方が多いと思っていました
こだわりも大事だとは思いますが、私は自分から相談もよくします。「ここが上手く書けないんですけど、どうしたらよくなりますかね?」って。そうして皆で話し合うこともあります。そこで、ほんのちょっとしたヒントでも掴めたら良いんです。それによって、また新たに書き出せるので。仕事も早く進みます。
■『サマーウォーズ』脚本のウラ話
―――例えば最近の奥寺さんが手がけた脚本では『サマーウォーズ』など、細田監督作品を連想する方も多いと思うのですが、細田監督とのやり取りはどうでした?
アニメ作品は、実写以上に“監督のもの”だと思います。仕事の流れを見ていると、監督が決めなければならない範囲が相当に広いし、プレッシャーもきつそうです。なので、できるだけ監督が何をしたいかということを話し合って確認しました。
―――では、展開の内容を巡ってバトルなんてことはなかったんですね?
戦うってことは基本ないですね(笑)。特に細田監督は、的を射た意見が多いので、私もそれを受けて、じゃあもっと面白くしようって前向きに進めました。
―――細かい話ですが、『サマーウォーズ』の内容は最初どのくらいまで固まっていたんですか?
全体のストーリーラインは細田監督が書いています。私は細かい部分と、それを2時間にどうまとめようかというところでしたね。最初の段階では、細田監督が書いたシンプルなあらすじからのスタートでした。そこから徐々に話し合って、書いて、膨らませていきました。
―――何回も練り直したシーンなどありますか?
最後、家族皆が協力してどう解決するのかっていうのは重要なテーマの部分でもあったので、誰がどんな役割を果たすのか、何稿も書きました。あと、勝負の手段で「花札」を使うというのが決まったのは、けっこうあとだったような。数字に関わるカードゲームっていうのは決まっていたんですけど。最終的にビジュアルでどう見せるかと。
―――「花札」っていうのは日本的な感じもしてとても印象深かったです。他、アニメ作品を書く上で意識していることは何ですか?
動きを多めにするというのは意識しています。映画やドラマだったら、生の役者さんの芝居をじっくり見せることでシーンが持ったりするんですが、アニメだともう少し画面全体のことを考えないといけない気がします。なので、動きは多めで、短めのシーンを重ねて、飽きがこないようにしています。
■ドラマや映画の脚本で気を付けていること
―――そこはアニメならではなんですね
作品の種類によって、気を付けなきゃいけないポイントは変わってきますね。テレビドラマだったら、次回の話を見たくなるような展開・終わり方にするとか。
―――映画とドラマだったらどちらが書きやすいですか?
書きやすさで言ったら2時間のパッケージでまとめられる映画です。ドラマだと途中から“もう少し展開を延ばして”みたいな要求もありますし。ただ、ドラマはドラマで、毎回反響が返って来るので、それを受けてどうしようかって考える楽しさがありますね。なんというかライブ感があります(笑)。
―――反響を受けて変える場合もあるんですか?
ありますよ。他にも役者さんの芝居を実際に何話か見て変えて行くというのもドラマの楽しさです。この役者さんとこの役者さんの掛け合いが面白いなと思ったら、次回はそこを活かして書いてみるとか。映画の脚本だとそういうのはできませんからね。
―――へぇ、ある意味自分も視聴者になって、より見たい部分を増やして書けるんですね。ちなみに奥寺さんが、“この役者さん良いな“と思った方は?
もちろんたくさんいますけど、好みとしては、普通の男の人、女の人を演じられる役者さんです。最近お仕事をした方ですと、例えば妻夫木聡さんとか、榮倉奈々さんとかですね。
―――どんなイメージを持たれました?
作品の内容自体はなかなか過酷な内容だったんですけど、お二人とも“普通の人”を見事に演じてくださったので、見ていて共感できるというか、応援したくなるんですね。
―――ちなみに今年観た映画の中で印象に残った俳優さんはいますか?
黒沢清監督の『岸辺の旅』を観て、深津さんの演技は良いなあと思いました。本当にそこで暮らしているみたいでした。
―――映画はけっこう観られるんですか?
はい。最近だと『バクマン』を観ました。やっぱり映画を観て、いろいろなアイデアに触れることは刺激になります。
―――なるほど。では次回は奥寺さんの好きな映画や、アイデアを得る方法について詳しくお聞きしたいと思います!
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