モーガン・フリーマンからもらったメッセージ 紀里谷和明監督『ラストナイツ』(2/4)
普遍的なテーマとはいえ、国籍もバックグラウンドも様々なキャストのなか撮影は上手くいったのか? そんな余計なお世話とともに、今回は撮影現場の様子と豪華キャスト達との交流についてお話を伺いました。
■国籍はバラバラでも違和感なく進んだ撮影
ーーー様々な国籍のキャストが集まった現場。撮影は順調に進んだのですか?
ほぼスムーズにできました。ちょっと声が大きすぎるとか、そういうお芝居の形の部分で指示することはありましたが、作品のテーマについては、根本の部分がしっかり繋がっていたので、特に調整するというようなことはなかったです。
ーーー俳優の方から質問などはありましたか?
この作品は架空の国が舞台ですが、皇帝役のペイマン・モアディから、俺はどこの国の皇帝をイメージすればいいのかとは聞かれましたね。
ーーーなんと答えたんですか?
君がこれまで見てきた「自分の中の皇帝」をそのままやってくれと言いました。先程のお話と重なりますが、この作品のテーマについて共通認識があれば、どこの国の皇帝かなんてどうでもいいんです。自分が感じたそのキャラクターがどんな姿なのか、そのイメージを大切にしてもらいました。
ーーー他の役についてもそれは同じですか?
そうですね。例えば、武士道について勉強した方がいいのか? という質問もありましたが…あなたが持っている正義とか武士道を表現してくれればそれでOKだと伝えました。それで違和感はありませんでしたよ。まあ、あるはずないんです。そもそも皆が持っているものなので。
■モーガン・フリーマンからの言葉
ーーー撮影以外の交流で印象に残っていることはありますか?
モーガン・フリーマンと話しているときに、映画監督として大事なことを聞いたら“リッスン”という言葉をもらいました。
ーーー“リッスン”? それはどういう意味なんですか?
自分なりの解釈ですけど…監督の仕事って、ある演技に対してOKを出すのか、もう一度撮り直すのか考えますよね。その時、それがなぜOKなのか、なぜ撮り直しなのかは、演技に対して自分が根拠を持ちながら感じないと判断を下せないじゃないですか。その感じるということが彼の言う“リッスン”だと思っています。
例えば…すごく歌が上手くても、何も感じて来ないってことありますよね。人と会話してても、声や言葉はちゃんと聞こえるんだけど何か伝わって来ないとか。そういう感覚のことを、他に表す言葉がないので、“リッスン”という言い方にしたんだと思います。
ーーーモーガン・フリーマンさんから観て紀里谷監督はどう映っていたんでしょうね?
一応、モーガン・フリーマンからは、君は出来てるから全然大丈夫だよということは言われたので勇気づけられました(笑)
■作ることの難しさを知っている分、他のどの作品もリスペクト
ーーー“リッスン”という感覚もそうですが、映画を作るにはいろんなことが必要なんですね。
そうですね。映画を作ってあらためて思うのは、本当に大変だということです。だから僕はどんな作品もリスペクトしています。やってみると本当にわかりますから。ちなみに僕は今、キックボクシングもやっているんですけど、キツイですよ! あれ、試合だったら3分なんか立ってられないです。
ーーーいろんなことされてますね~。でも大変なのはどの分野も同じなんですね
映画というのは人が観るもので、それぞれ好き嫌いの評価は分かれると思いますが、何かをやり遂げている人に対しては、僕はフルリスペクトです。そこに肩書きとかとかはどうでもいいんです。
ーーーモーガン・フリーマンじゃないですが、余計な先入観を持たずに常に相手を“リッスン”する姿勢は大事ですね。
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■「ラスト・ナイツ」公開情報
*2015年11月14日(土)全国ロードショー~
監督:紀里谷和明
脚本:マイケル・コニーベス
出演:クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマン、伊原剛志、アン・ソンギ
公式サイト:http://lastknights.jp