最近、あまりにもカタチにこだわり過ぎる人が多いと思う 『ラストナイツ』紀里谷和明監督(3/4)

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モーガン・フリーマンから監督として大事な感覚を持っていると太鼓判も押された紀里谷監督。今回はそんな紀里谷監督の今が作られる元になった映画作品についてお聞きしました。

 

好きな食べ物をいつに好きになったかって覚えてないでしょ

ーーー写真、PV制作、映画制作と、これまで様々な作品を作ってきた紀里谷監督ですが、今の自分を形作る元になった作品・映画ってありますか?

う~ん、それを答えるのはとても難しいですね。仮に答えてもそれは本当じゃないって感じですし。例えば料理でハンバーグが好きという人がいて、それがいつ好きになったかってわからないじゃないですか。

 

 

ーーー確かに覚えてないです

お寿司を食べたり、カレーを食べたり、いろんな食べものを経験する中で、ハンバーグが好きって結論づけられるじゃないですか。今の僕も同じで、例えるなら、東映マンガ祭りとか角川映画とか、とにかくいろいろな作品を見ながら、一つの自分が形成されているので、1つの作品を挙げろって言われても難しいですね。きっとここで『2001年宇宙の旅』って答えるとカッコいいと思うんだけど…。でも『地獄の黙示録』も好きだし、デヴィッド・リンチの『エレファント・マン』も大好きだし…本当に難しい。

 

 

 

カタチにこだわり過ぎな人が多すぎる

ーーー確かに1本を挙げろというのは強引ですね

よくある質問でトップ5を挙げてとも言われるんです。でもそれでも難しいですよ。『シン・レッド・ライン』も好きだし、ラース・フォン・トリアーの『エレメント・オブ・クライム』も大好きだし…いろいろある。人間というものはシンプルなものじゃないので、そんな割り切れるものじゃないと思います。

 

 

ーーー変に決めつけられると、誤解が生まれることもありますしね

最近、あまりにもカタチにこだわり過ぎる人達が多いと思うんです。あなたは何系ですか? とか。職業とか肩書きで全てがジャッジされていく。でも、人間ってもっと抽象的なものだと思うんです。そして、そういう言葉で表現できないところが実は一番重要なんじゃないかと思います。

 

 

 

人との会話にしてもカタチはどうでもいい

ーーーカタチという話がありましたが、ご自身が制作する作品については、どのようにお考え方なんですか?

これまでミュージックビデオとかいろんな仕事に携わっているけど、そのカタチはどうでもいいかなと思ってきています。今回の作品は『ラスト・ナイツ』という映画のカタチにたまたま落とし込まれているだけで、重要なのは何を伝えたいのかということ。そこでしかないって感じですね。

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余計な部分は信じないです。例えばこうして誰かと会話しているときも、相手の名前とか見た目とか肩書きとかはどうでもいい。相手の中にあるものが何なのか、相手は本当はどんな人なのか、そこに向かって話しています。そうじゃないとつまらないし、伝わらないじゃないですか。

 

 

ーーー確かに上っ面な会話だけしてても、本質はわかりませんもんね

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■「ラスト・ナイツ」公開情報

*2015年11月14日(土)全国ロードショー~

監督:紀里谷和明

脚本:マイケル・コニーベス

出演:クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマン、伊原剛志、アン・ソンギ

公式サイト:http://lastknights.jp