『リング』『劇場霊』中田秀夫監督が聞いた怖い話
「劇場」や「撮影所」の持つ独特の不気味さ。中田監督から聞くと、ますます説得力を感じた前回のインタビュー。第2回目は…さらに深く、中田監督の怖い話を引き続きお楽しみください!
■記憶とリンクしたときに感じる恐怖
―――劇場や撮影所にまつわる “怖い”話はほかにもあるんですか?
『女優霊』のときに助監督が、深夜、小道具を置き忘れたみたいで、守衛さんにカギを借りて部屋に戻しにいったそうなんです。そこでは、電気は付けずに、非常灯の赤いランプだけがついてる状態だったらしいんですけど、そういうとき、幽霊は見えないけど、やっぱり不気味に感じたそうです。
映画『劇場霊』より
―――確かに不気味そうですが、どうしてそういうときって怖いんでしょうか?
今回の『劇場霊』もそうなんですが、人間は、“以前撮影中にこういうことがあったよな”とか、そういう記憶があるんですよね。“なんか女優が監督とこういう風にもめていたよな。確か人形が勝手に動いたとか言ってたよな”みたいな。
―――確かにそういうことをふと思い出すと一気に怖くなりますね
劇場ってそういった感情と感情のぶつかり合いの空気がまだ残っているというか、それが気のように感じられて、なんとなく嫌な・・・出そうな感じがする。『女優霊』はそういう虚構が作り出した魔物というか、そういうものでしたね。ちなみに顔がない少女の幽霊はある有名監督が体験した実話らしいです。
―――ほぉ、怖いですね
特に虚構のドラマを作っている現場には、特に古くから建てられているところには、そういうのがあってもおかしくないと思います。それは昔からの人の念というか想いが残っている、積もっているからだと言うしかないんだけど。
―――舞台だとお客さんからは見えない死角も多そうですし、そういった念も溜まりやすいんですかね
例えば、隠された空間、役者がせりあがるための空間として奈落という場所があるんだけど、そこはネズミが出たりとか、その延長で出ちゃいけないものが出たりというのは十分あるなと思いました。
■リング2で起こった不可解な出来事
―――監督自身はそういう体験はありましたか?
『リング2』の撮影中に、幽霊の声が録音されたってことはありました。
―――どんな声だったんですか?
若い男の声で「りかこ」って、女の名前を呼ぶ声でした。“りかこ、りかこ”って2回聞こえるんです。しかもそのとき、マイクは海へ向かっていて、録音スタッフによると「声は海の方からしない限り、声が入ることはありません」って言うんですよ。もちろんそちらに人はいなかったので、それを聞くと、ぞ~っとなりましたね。
―――怖さに説得力が増しますね
そういう理屈をちゃんと言ってくれる人がいると怖さって倍増するわけですよね。ちなみに、ある女優さんでプロフィールの特技に霊能力って書いてある方に聞いてもらったら、そこには“霊がいっぱいいますね”って言うんですよ。昔から自殺未遂が多い場所らしいんですけど。ただ、僕は理系だから正直そういうのを聞くと、別にこのインタビューしている部屋にいてもいいじゃないかとも思うんですけどね。
―――確かにそうですね
こういう普通の部屋で、そういう声が聞こえることは基本ないですよね。水死体が上がりやすいっていう場所ばかりで、なぜ出くわすのかっていうのはやっぱり説明できないですよね。
■『劇場霊』では?
―――ほかの作品でもそういうことはあったんですか
『クロユリ団地』のときも、少年の霊をお祓いするシーンで、ハードディスクレコーダーで録音の機械が回らなくなって、お祓いの声が取れないっていう現象が起きたりもしました。
―――いろんなことが起きているんですね。ちなみにこの『劇場霊』では?
今回は、残念ながらなかったですね。『リング』のときなんかは、松嶋さんが窓を閉めたときに、ちょうど彼女のシャツに貞子が写っている、そう見えるなんてこともあったんですけどね。今回はそういうのはなかったです(笑)。
■「劇場霊」ブルーレイ&DVD 2016年4月2日発売
BDプレミアム・エディション(2枚組)6,800円
DVDプレミアム・エディション(2枚組) 5,800円
BDスタンダード・エディション 4,800円
DVDスタンダード・エディション 3,900円
※価格は全て税抜
監督:中田秀夫
脚本:三宅隆太、加藤淳也
出演:島崎遥香、足立梨花、高田里穂
発売元:日活
販売元:ハピネット
(C)2015「劇場霊」製作委員会
公式サイト:http://gekijourei.jp/