人が恐怖を感じる条件は?『劇場霊』中田秀夫監督

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霊が「人形」として現れ襲いかかる『劇場霊』。それを恐怖として見せるために、どんな工夫をされたのか? 中田秀夫監督にお話を伺いました。

 

 

自然の法則と違うことが起こると怖い

―――あらためてですが、人が怖いと感じるのはどういうときなんでしょうか?

映画の中での体験と、現実の体験とは違うとは思いますが、基本的に、“起きちゃいけないことが起こる”とそういう気持ちになりますよね。自然の法則と違うことが起こるとか。

今回の『劇場霊』でいえば人形が勝手に動くということ。よく市松人形とかも、人形なのに目が動く、髪の毛が伸びる、首が動くとか。さっきまで左を向いていたのに、今は右を向いていたとか。そういう話はよくあるじゃないですか。そういうのが怖いというんじゃないですかね。

 

 

なぜ人形を選んだのか

―――今回はなぜ霊・魔物として、人形を選んだんですか?

人形を選んだ理由としては、恐怖の対象を劇場に住む地縛霊だけでは、今までと同じかなという想いが、まずありました。で、そのときに恐怖の対象を何にするのがいいかなと考えて、Jホラーの大枠をとっぱらおうと思ったんです。実態がなく、見えないものがJホラーの定番なんですけど、ならば今回は、実態のある、見えるものが怖いということにしてみましょうと。

 

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―――なるほど。それで人形に

そこで、使う人形をどんなものにするかなんですけど…劇場の中で人形を使う以上、市松人形とかはちょっと小さいなと。市松人形が普通の部屋にいて動くならわかりますが、劇場でとなると、存在感として大きさも必要だと思ったんです。そういうところから舞台装置である大きな人形ということになりました。そこで人形という人が動かさない限り動くことはないものに魂が入って自分で動く。それがさらに人を襲い、気を吸って動く。そういう例えば、楳図かずおさんのホラー漫画で描いてきたような世界観でやってみようと。

 

 

工夫した人形の動き

―――その人形で怖さを出すためにはどんな工夫をされましたか?

最初は動かない人形をどのあたりで、思い切って動かすかというポイントは考えました。途中、高田里穂さん演じる葵が襲われるところまでは、人形は部分的にしか見せていないですし、あるシーンのみはフルCGでしたし。ただ、最後のクライマックスは、女優さんに演じてもらおうと。

 

―――人形の動きは相当練習されたそうですね

はい、人形役を演じたのは護あさなさんという女優さんなんですが、パーツさんという日本を代表するパフォーマーの方にみっちり指導して頂いて、彼女もそこはすごく頑張ってくれました。

 

 

―――動きとして特に見せ場だなと思うところはどこですか?

動きとして見せ場なのは、刑事が襲われるところですね。顔は後ろを向いているけど、そのまま手は前を向いて後ずさりながら歩く。そこは、人間がなしうる人形的な動きで、最高潮にしたいと思いました。リングでいえば、井戸から出てきた貞子の動きですよね。

 

 

 

■「劇場霊」ブルーレイ&DVD 2016年4月2日発売

BDプレミアム・エディション(2枚組)6,800円

DVDプレミアム・エディション(2枚組) 5,800円

BDスタンダード・エディション 4,800円

DVDスタンダード・エディション 3,900円

※価格は全て税抜

 

監督:中田秀夫

脚本:三宅隆太、加藤淳也

出演:島崎遥香、足立梨花、高田里穂

 

発売元:日活

販売元:ハピネット

(C)2015「劇場霊」製作委員会

公式サイト:http://gekijourei.jp/

 

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