秋元康さんの「劇場って怖いよね」からはじまった 『劇場霊』中田秀夫監督(1/4)

『劇場霊』中田秀夫監督インタビュー(1/4)

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舞台はとある劇場。その中で次々と起こる謎の事件。そこには必ず美しく不気味な人形の影が…。人形の存在感と共にどんどんせり上がってくる恐怖が印象的な本作『劇場霊』。監督は『女優霊』『リング』『仄暗い水の底から』『クロユリ団地』などでもお馴染み、Jホラーの旗手・中田秀夫さん。

2015年に公開された本作は、主役が「AKB48」グループメンバーのオーディションによって決められ、島崎遥香さんが選ばれたことでも話題となりました。今回、第一回目のインタビューでは、作品を作ることになった経緯から、なぜ舞台が「劇場」になったのか、お聞きしました!

 

 

■「劇場って怖いよね」から始まった『劇場霊』

―――劇場霊を撮ることになった経緯を教えてください

企画が決まった経緯は、前に撮った『クロユリ団地』のヒットを受けて、その続編ではないけれども、同じチームで…秋元さんが企画して僕が監督してというカタチでまた何か作ろうという流れで始まりました。

 

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―――秋元さんとの出会いは?

もともと、僕が20年前に撮った『女優霊』を見て、それをとても気に入ってくださったみたいで…そのあとの『リング』を見たときも、「中田に会わせろ」と言ってくださったみたいで、その直後に会いました。それからの付き合いです。

 

 

―――今回の『劇場霊』では、AKB48グループのメンバーでオーディションをしていますが、それはいつ決まったんですか?

主演の役をオーディションで選ぼうというのは、その企画の話の後でしたね。

 

 

―――設定など、話のコンセプトはどのように決まったんですか?

なんというか、秋元さんは、とてもシンプルにモノを仰る人なんですけど、「○○って怖いよね」と。これしか言わないんです。

 

 

―――だいぶ感覚的ですね

そう、例えば『クロユリ団地』のときは、「団地って怖いよね」。今回の劇場霊は「劇場って怖いよね」と。これだけなんです。まあ、だけというのもあれだけど(笑)。

 

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―――そこからは中田監督たちが話を作っていったんですか?

そうですね。秋元さんも、僕の作るホラー映画を気に入ってくれているので、いわば、スタート地点、入口は自分が提案するが、あとは監督に任せるというタイプの方でした。ですから、そこからは、プロデューサーチームとライターの三宅さんと加藤さんと話を進めていきました。

 

 

 

劇場や撮影所にまつわる怖い話

―――でも「劇場って怖いよね」という言葉からよく話を作っていけましたね

ただ、劇場ってそれぞれ怖い話はあるもので、例えばAKB劇場なども怖い話の噂はありますし、僕も20年前に、日活の撮影所は怖いという話を聞いて、『女優霊』を撮るときに、見たことある人はいるんじゃないかと思ってスタッフにインタビューしたことがあるんです。

 

 

―――へぇ、どんな話なんですか?

昔、日活に赤木圭一郎さんって有名な俳優の方がいらっしゃって、ゴーカートに乗っていて事故死されたということがあったんですけど、まさにその赤木圭一郎さんそっくりの幽霊に会ったという小道具の方がいて、直接話を聞きました。それがまた、よくできたというか、なかなか怖い話だったんです。

 

 

―――どういうシチュエーションで見たんですか?

ある日の深夜1時か2時ぐらいのときに、真っ白のスーツでシルクのマフラー、それで帽子をかぶったかっこいい、今っぽい雰囲気ではない人にステージの場所を聞かれたそうなんです。

 

 

―――すでに不気味ですね

それで、スタッフの人は、あっちですよと教えてあげたらしいんですけど、その雰囲気からきっと俳優さんだろうけど、なんでわからないんだろうって不思議に思ったそうです。まあ彼女は、赤木圭一郎の顔を知らないわけです。それで、かなり日にちが経った後に、日活のアルバムを見て、「あっ、私があの夜に出会ったのはこの人だ」っていう瞬間があったそうなんです。

 

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―――それはゾッとしますね

話として、まあ情報の出し方がよくできているなと。彼女にとっては、その赤木さんのような人と出会ったのは真実だし、それは怖いよねと思いました。まあ撮影所自体は昭和29年に建てられたので、亡くなられた方もけっこういるらしいんですけどね。

 

 

虚構の裏にいる得体の知れない何者か

―――撮影所と劇場では共通点はあるんですか?

劇場とか映画の撮影現場って、そういうところで何が共通しているかというと、どちらも「虚」のストーリー…虚構を作っているわけです。今回の『劇場霊』でいえば、伯爵夫人エリザベートの物語、これも虚構ですよね。そういった虚構を組み立ててお芝居を見せるという中で、その空間をずっと後ろで見つめている何者かの存在がいる。

 

 

―――虚の後ろにいる得体の知れない何か…想像すると怖いですね

僕も撮影所について怖いと思ったかと聞かれると、日活の撮影所は「ここは出る」と前情報や噂として聞いていたというのがあったので…特にキャットウォークという上の方にある通路とか、あの辺は落ちると確実に怪我をするていうのもあるし、何かいてもおかしくないなという雰囲気はありますよね。

 

 

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(4/4)『劇場霊』中田秀夫監督(近日配信)

 

■「劇場霊」ブルーレイ&DVD 2016年4月2日発売

BDプレミアム・エディション(2枚組)6,800円

DVDプレミアム・エディション(2枚組) 5,800円

BDスタンダード・エディション 4,800円

DVDスタンダード・エディション 3,900円

※価格は全て税抜

 

監督:中田秀夫

脚本:三宅隆太、加藤淳也

出演:島崎遥香、足立梨花、高田里穂

 

発売元:日活

販売元:ハピネット

(C)2015「劇場霊」製作委員会

公式サイト:http://gekijourei.jp/