『散歩する侵略者』監督 黒沢清 × 原作 前川知大が共感する笑いのメソッド
(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会
—お二人の作品の共通点として、くすっと笑ってしまう部分だったり…ゾッとする部分の絶妙なバランスがあると思うんですが、作品を作る上でそういったことは意識されていますか?
黒沢
僕は笑わせることはそんなに意識していません。ゾッとするって言いますか、異様なこと、日常と少し違うことが起こって人々が戸惑う、あるいは恐れるというのは得意でいろいろやるんですけど…。ちょっとした日常の乱れの強弱によって全然違ってきますよね。それが強いと恐怖になり、弱いと笑いになるのかなって気がします。
前川
怖いのと笑いって紙一重ですよね。
黒沢
紙一重です。
(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会
前川
演劇でも、怖いシリアスなシーンって、ちょっとバランスが崩れるともう笑える感じになる。さらに、すごい緊張感あるシーンのあと、ちょっと緩和するようなことがあると、たいして面白くなくても笑っちゃう。それはほんとに面白くて笑っているんじゃなく、ホッとして笑っているだけなんですよ。舞台は生身の人間が対峙していくので、お客さんには集中して観ていただいていますけど。心理的にリラックスしてもらえないと大嘘がつけない。どんどん変な展開になってっても、お客さんがリラックスして観ていただいていれば、スッと理解してもらえる。ほんとに詐欺師みたいな手法ですけど。そういう点では特に前半に意識的に笑いを作ります。
【監督 黒沢清 × 原作 前川知大インタビュー(全4回) 】
(1)原作にない侵略シーンを映像化したい!
(2)黒沢清監督は原作のどこに惹かれたのか?
(3)監督 黒沢清 × 原作 前川知大が共感する笑いのメソッド
(4)奪われたくない「概念」は何ですか?
『散歩する侵略者』公開情報
2017年9月9日(土)新宿ピカデリー他にて全国公開
監督:黒沢清
原作:前川知大「散歩する侵略」
脚本:田中幸子 黒沢清
出演:長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、恒松祐里、長谷川博己