「人は笑えることがあれば、明日が見える」のんさん感動の受賞コメント 毎日映画コンクール受賞式レポート

第71回毎日映画コンクールの表彰式レポート第4弾・最終回。

 

このコンクールの準グランプリにあたる「日本映画優秀賞」は「この世界の片隅に」が受賞。作品を代表して片渕須直監督と 主人公・北条すずの声を演じた のんさん(本名:能年玲奈)が登壇。

th_DSC02711.jpg

片渕監督のコメント

「“この世界の片隅に”は、アニメーション部門の大藤信郎賞を頂いて、そのあとどうなるのかなと思っていたんですが…日本映画全体の中の優秀賞をいただけるようになったというのは本当に有り難いことだなと思っています。第二次世界大戦中の日本の普通の家庭を描いて、そこにいる主婦のちっぽけな姿を描くというのは、アニメーションの技術や表現を活かすのにピッタリでした。それが映画として認めていただけた。題材からするとおよびつかない結果です」

 

th_DSC02722.jpg

のんさんのコメント

「(日本映画優秀賞は)監督、スタッフ、キャスト、そして観て下さった方も含め、みんなでいただいたように思えて、とても興奮しています。この作品はとても素晴らしい作品になると公開される前から確信していたのですが…こんなにたくさんの方に観ていただけて、このような賞をいただけるというのは夢のようで…とてもビックリしています。そのことを、このあいだ片渕監督に”ビックリですね”とお話したら…“監督は無限に夢を観るものです”…とおっしゃって…その言葉を聞いてわたしは…頼もしくて、かっこ良くて…素直な監督だなと思って(笑)…参加できて良かったと強く思いました」

 

th_DSC02745.jpg

ふたりから喜びのコメントが語られたあと、司会進行の生島ヒロシさんから のんさん起用の理由を尋ねられた片渕監督は…「のんちゃん以外に考えられないでしょ(笑)。ホントにそう思ったんです。キャストを決める前の段階から、ボクらは頭の中でセリフの間とかペースをイメージしながら描いていたんですが、その時からずっと のんちゃんがいました」と回答。

th_DSC02738.jpg

次いでのんさんへ質問。「厳しい状況にあっても明るく生きていく、主人公・すずさんの姿に感動しました」と声をかけられたのんさんは…「(この作品にある)人は笑えることがあれば、明日が見えるんだなっていう力強いメッセージを感じて、わたしも感動しました」と返すと…生島さん「いい言葉ですねぇ、のんちゃん!」と感心したご様子。その反応に「おぉっふ?」とおどけるのんさん。

th_DSC02743.jpg

「あまちゃん」で見せた姿を彷彿とさせるリアクションに、会場中が柔らかな空気に包まれた。

 

その後、音楽賞を受賞したコトリンゴさんが「この世界の片隅に」の主題歌『悲しくてやりきれない』を披露するミニライブが行われ…

th_DSC02763.jpg

th_DSC02760.jpg

しっとりと優しいコトリンゴさんの歌声と、せつない歌詞、ステージ奥の巨大スクリーンには「この世界の片隅に」が映し出され、感動のフィナーレ! …ではありません。このあと、毎日映画コンクールのグランプリにあたる「日本映画大賞」の発表が!

 

 

 

生島さんから「最高の栄誉を獲得したのはこの作品です!」と紹介があると、会場中にゴジラの足音と咆哮が響き渡り! 伊福部昭さん作曲の「ゴジラのテーマ」に乗せて舞台袖からゴジラが登場!

th_DSC02766.jpg

th_DSC02772.jpg

th_DSC02795.jpg

会場から若干、笑いも漏れるなか…反対側の舞台袖からは樋口真嗣監督、女優助演賞を受賞した市川実日子さん、美術賞を受賞した林田裕至さん、佐久嶋依里さん、エグゼクティブプロデューサーの山内章弘さん、プロデューサーの佐藤善宏さんが登場。監督が代表してトロフィーを受け取ると、マイクの前へ・・・。

th_DSC02790.jpg

「ええっと・・・コトリンゴさんの歌声が非常に素晴らしく・・・心に沁み入ったたあとに・・・すべてを台無しにする(会場・大爆笑)・・・そんな演出にワタシは正直、不満を隠せません(爆笑)。ホントにこれで良いのでしょうか?(爆笑)。ええっと・・・非常に重たいトロフィーを持って・・・あの、60年前に我々の先輩が作ったゴジラというキャラクター。60年のあいだ30本以上、ゴジラという作品を創り続けた先輩たち。その先輩たちも、すごい大変な想いをしてやられたと思います。それを受け継ぐ形で、我々は、いまの日本を舞台に、どういったゴジラを作るべきなのか? 本気で考えて、本気で作りました。(日本映画大賞受賞を)感謝しています。ありがとうございました」。

th_DSC02475.jpg

各受賞者の映画愛にあふれた喜びのコメント、それを包む主催者側の演出を堪能した約2時間半の授賞式でした。式の冒頭、東映の岡田会長が語ったように「実写も、アニメも、特撮も無い時代」の象徴、始まりを伝えることになった今年の毎日映画コンクール。2017年、どのような作品が上映され、人々の心を捉えるのか? 春休み映画が続々公開されています。みなさんも是非、劇場へ足を運んでみてください。Filmersでは注目作品の舞台裏を監督、俳優へのインタビューを通して発信してゆきます!

 

【第71回毎日映画コンクール授賞式レポート(全4回)】
(1)樋口監督がゴジラポーズで登場
(2)タレント名鑑、ウィキにも載っていない無名俳優が新人賞
(3)香川照之さんは「早く役者を辞めなさい!」と言われていた!?
(4)「人は笑えることがあれば、明日が見える」のん感動の受賞コメント

Related Post

コンペティション

2017.03.16Thu

香川照之さんは「早く役者を辞めなさい!」と言われていた!? 毎日映画コンクールレポート第3弾

女優助演賞は「シン・ゴジラ」で環境省の役人・尾頭ヒロミを演じ話題となった市川実日子(いちかわ・みかこ)さんが受賞。野生生物課・職員として未知の生物「ゴジラ」の生態を冷静に分析、大臣など上役に気づかうことなく、人の目を見ずただ自分の信じる...
コンペティション

2017.03.14Tue

タレント名鑑、ウィキにも載っていない無名俳優が新人賞 毎日映画コンクール授賞式レポート第2弾

第71回毎日映画コンクールの表彰式レポート第2弾。   特別賞は、「白組」代表取締役社長・島村達雄さん。「シン・ゴジラ」のCG制作などアニメや実写映像のビジュアル・エフェクツ分野で技術革新を牽引してきた実績、「ALWAYS...
コンペティション

2017.03.05Sun

樋口監督がゴジラポーズで登場 第71回毎日映画コンクール授賞式レポート

第71回毎日映画コンクールの表彰式が2月15日、ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市)で開催された。ハリウッドと日本のアカデミー賞授賞式が終わり一通り昨年公開作品に関するお祭りは終了したところだが…Filmersでは...
コラム

2017.03.03Fri

第40回日本アカデミー賞 受賞予想!

第40回日本アカデミー賞 授賞式が3日(金)開催される。大手配給会社が持ち回りで受賞しているのではないかとの批判の声も聞かれるが、昨年は「百円の恋」が主演女優賞(安藤サクラ)、脚本賞(足立紳)に輝いており、最優秀賞の受賞予測は難しくなっ...