「お腹を空かせてきました!」桐谷健太さんも楽しみにしていた食事シーン『彼らが本気で編むときは、』荻上直子監督インタビュー
荻上作品の魅力のひとつと言えば、フードスタイリスト飯島奈美さんによる食事シーン。最新作『彼らが本気で編むときは、』でも食事シーンは飯島さんが担当。その食事シーンでは、トランスジェンダーの女性・リンコ役を演じた生田斗真さん、リンコの彼氏役を演じた桐谷健太さんそれぞれに想うことがあったようで・・・。
■コンビニのおにぎりの独特な存在感
――荻上さんの作品は、観た人が“食べたい”と思う食事シーンも特徴のひとつだと思います。女性を演じる生田さんは、食事シーンもご苦労があったのではないですか?
やっぱり女性っぽく食べるのは難しかったみたいですね。彼もすごく苦労したし、食べるシーンでは鶏の唐揚げでも何でも、彼は1口で食べるところを「女性は1口では食べない!」とか、いろんな人が口出ししちゃったので、混乱もしたと思います。「じゃあもうこれだけしか食べない!」って決めたりとか(笑)。
――荻上作品のアイテムとして印象的なものと言えば、飯島さんとのコンビによる食事です。『かもめ食堂』ではジャパニーズ・ソウルフードとしておにぎりが登場しますが、今回の作品ではコンビニのおにぎりを食べるシーンがあります。でも今回は、前向きではなく…。
ネガティブな意味合いですよね。
――コンビニのおにぎりと、手で握ったおにぎりとの違いみたいなところは、意識して描かれましたか?
いえ、『かもめ食堂』のおにぎりと比較しようという気持ちは全然ないんです。今回はネガティブな意味で使っちゃいましたけど、ただ、やっぱり日本人って「米さえ食べていれば大丈夫」なところはありますよね。一人暮らしの人たちも、おにぎりだけはコンビニで買って帰って食べていたり。
あと、被災地であのおにぎりが配られているのを見たりして。あのフィルムの取り方については、アメリカ人の友達が「あれ発明した人、ホントに天才だよね!」と言っていましたけど、日本全国どこに行ってもあって、コンビニのおにぎりには独特の存在感がありますよね。
■「家族」をテーマに描く上で食事シーンは欠かせない
――前半から美味しそうな食事シーンがあり、荻上作品ファンとしては「キタキタ!」と嬉しいのですが、やはり食事シーンは欠かせないアイテムなのですか?
それは全然、意識しているわけではないんです。ただ今回もですが、自分のやりたいことが「家族」というテーマだったりするので。家族の日常を描きたいと思うと、やはりご飯はすごく重要なアイテムになってきますね。
私自身も、今日は何を食べようかなということを毎日思いますし、やはり人々にとっては「ご飯を食べる」ということは、心の拠り所と言ってもいってもいいようなことなので。なので、家族の映画だと、意識しなくても脚本の段階で出てきてしまうんですよね。
――食事シーンは、いつもフードスタイリスト飯島奈美さんが手がけていますよね。なぜいつも飯島さんにご依頼されるのですか?
それも意図して飯島さんのご飯を見せようというつもりは一切ないんですけど、せっかくそういうシーンがあるんだったら飯島さんにやってもらえたら安心だし、確実に良いものを作ってくれるので。
桐谷健太さんなんかはもう、「今日はこのためにお腹を空かせてきました!」ってばくばく食べてたり(笑)。本当にそのまま食べて美味しいものなので、そういう結果になっているだけで、そこで何か意図して「どうだ!」と見せているわけではないんです。
★予告編は公式HPからご覧ください★
【『彼らが本気で編むときは、』荻上直子 監督インタビュー(全4回)】
(1)癒してなるものか!『彼らが本気で編むときは、』荻上直子監督インタビュー
(2)生田斗真さんを起用した理由『彼らが本気で編むときは、』
(3)「お腹を空かせてきました!」桐谷健太さんも楽しみにしていた食事シーン
(4)祝・テディ賞審査員特別賞受賞作「彼らが本気で編むときは、」から学ぶセクシュアル・マイノリティの一歩先にある問題
『彼らが本気で編むときは、』公開情報
2017年2月25日(土)全国ロードショー
脚本・監督:荻上直子
出演:生田斗真 柿原りんか ミムラ 小池栄子 門脇麦 柏原収史 込江海翔 りりィ 田中美佐子/桐谷健太
公式HP:http://kareamu.com/