なぜ新妖怪にコアラが選ばれたのか?
12/17(土)公開の『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』では、バレリーナを目指す女の子の「夢」と「挫折」が物語のキーになっています。なぜ「バレエ」というモチーフが選ばれたのか? そして新妖怪「コアラニャン」の誕生秘話とは? インタビュー第3弾では、物語の設定へのこだわりをお聞きします。
■アニメのキャラと現実の人たちの「悩み」は違う
――今作はバレリーナを目指す女の子の「夢」と「挫折」が物語の核になっていますが、その発想はどういった経緯で生まれたのですか?
これはアニメのキャラクターたちが悩むことと、現実の人たちが悩むことは違うよねっていう発想なんです。アニメの世界では何ともないことが、現実の世界では非常に怖いことだったりするわけで、そういう現実の世界だからこそ悩むようなネタは何だろうということから考えました。だから「歩けなくなる」とか。そんなアニメは少ないですし。
――「アルプスの少女 ハイジ」のクララは足が不自由という設定でしたが…「妖怪ウォッチ」に不可能は存在しない!という世界観のアニメですよね
アニメの世界では、車にはねられても次の瞬間にはピンピンしている世界観。子供達は「元気な世界」だと思っているだろうし、ケガをしても次の瞬間には治る設定になっているんです。でも現実の世界はケガしたら何ヶ月も治らないわけで、そういうリアルとアニメとの違いというところを、お互いぶつけ合わせたら面白いだろうなと思いました。
――そこで「スポーツ」を軸に物語を展開することになったと。
それで最初、バレリーナのお話を書いたんです。みんなとシナリオを書く上で、もっと身近なスポーツの方がいいんじゃないかといろんなものに置き換えてみたんですけど、なかなかしっくりこなくて、結局、最初の案のバレリーナに戻したんです。
――ほかにはどんなスポーツが候補に上がったのでしょう? 「かけっこ」が早いとか?
そういう個人で完結するもので、例えば足をけがしたらできなくなるものとか。ただ、なかなかバレエ以上の物語性を持てるものがなくて。バレエは個人でやるもので、かつ女の子が繊細さをアピールするものなので、今回のテーマには合うなと思ったんです。
――華やかで絵になるというよりも、物語性だったんですね
そうですね、絵というよりも、感情が描きやすいということに重点を置きました。
■現実の世界では「別の役割」がある妖怪がいい
――今回はその女の子が連れている「コアラのぬいぐるみ」が、新しい妖怪「コアラニャン」として登場しますが、どうしてコアラがモチーフになったのでしょう?
新しい妖怪を作るときに、どんな妖怪にしようと考えたんですけど。その妖怪っていうのは、現実の世界では妖怪ではない現実の何かになっていて、アニメの世界では妖怪になるのがいいなと思って。それで、女の子が子供の頃から持っているぬいぐるみが、アニメワールドになったら動き出すっていうのが良いなと思ったんですよ。
ただ大概の動物はもう使っちゃってるんで、そこでコアラに白羽の矢が立ったということなんです(笑)。
――残された選択肢の中で、かわいい動物って何だろう!?と探したらコアラがいたぞ〜と(笑)。確かに猫も犬ももう登場していますし。
あえて猫でも面白かったかもしれないですけどね。ジバニャンとライバルっぽくなるとか。まあ、コアラは鼻がボタンになるという機能が付けられるのでいいなあと!
【製作総指揮・原案 日野晃博さんインタビュー(全4回)】
『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』公開情報
2016年12月17日(土)全国ロードショー
製作総指揮/原案:日野晃博
原作:レベルファイブ
連載:月刊コロコロコミック
監督:ウシロシンジ
実写パート監督:横井健司
脚本:日野晃博・加藤陽一
声の出演:戸松遥 関智一 小桜エツコ 遠藤綾 重本ことり 梶裕貴 潘めぐみ
出演:南出凌嘉 浜辺美波 黒島結菜 澤部佑/遠藤憲一 山﨑賢人 斎藤工/武井咲