やっぱり現場ってたのしいなって思いました 『この世界の片隅に』のんさんインタビュー

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アニメ映画の主演を務めるのは初めてだというのんさん。アフレコ現場では苦労したこともたくさんあるぶん、現場の一体感も格別だったのだとか!

 

◆表情や動きで表現していたものを、ぜんぶ声に盛り込まないと…

――通常の演技と比べて、声だけの出演というのは、具体的に大きな違いはありましたか?

アニメの世界は、映像が付いていますが、自分が動くときよりも声だけで表現しないといけないんだなって。表情とか動きとかで表現していた視覚的な情報を、ぜんぶ声に盛り込むっていうのをしないと成立しないんだっていうのを気づいて、それがすごい難しかったですね。何も気持ちがこもってないみたいに聞こえちゃうんです。

 

――表情や動きのアシストがないまましゃべるとそうなってしまう?

そうですね。表情や身体表現を総合して演技するものとはまったく違います。あと、動かずに台本を見ながらしゃべるというのが、下手くそだったと思います。

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(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

――なるほど、マイクから離れたりすると声がブレてしまう?

そうなんですよ。こう「わーい」とか(動きをつけて)やったりすると、すごく高性能なマイクを使っていたらしくて、衣擦れとかの音がぜんぶ入っちゃう。そういうことで、自分が動いたりすると五感が動きやすいというのがあるのですが、そこの部分が大変でしたね。

 

――演技的なこととは別に、そういうアニメ収録の作法のような部分も難しかったんですね。

そうですね。

 

――のんさんはアニメファンだということですが、今回、共演者のみなさんは細谷佳正さん、小野大輔さん、潘めぐみさんなど豪華な声優陣が揃っています。アフレコをした時、なにかやりとりはありましたか?

私はみなさんがレコーディングした後にやらせていただいていて。リンさんとのシーンだけ、リン役の岩井七世さんとの掛け合いでやらせていただいたんですけど、それ以外は1人でやっていて。ずっと監督と話し合いながら突き詰めていくっていう感じでした。

 

――作品を作っている間、共演者とはお会いされましたか?

岩井さんと新谷さんにお会いできました。

(※後日、やっと会えた共演者のみなさんとのエピソードがブログに登場!

http://lineblog.me/non_official/archives/12071516.html

 

――実際に、共演者のみなさんの声が当たっている映像をご覧になって、どうでしたか?

みなさんの声を聞きながらやらせていただいていたので、すごくありがたいって思いながらやってましたね。(すずの夫・周作役の)細谷さんとかは、何も入っていない状態でやられていたって聞いたので、すごく大変な作業だなって思いましたね。ケンカのシーンとか、やりやすかったです。あと、周作さんのスネている時の声とかが(笑)、すずの気持ちが作りやすくて、助かりました!

 

――今までアニメを観ているときは、声優さんというのはテレビの中の存在だったと思いますが、実際に声優をやってみた感想はいかがですか?

すごく難しいなっていう風に思いましたね。一度だけやらせていただいたことがあるんですけど、その時は17、8歳ですごい若くて、がむしゃらにやったっていう記憶しかなくて。今回、改めて主役でしっかりとやらせていただくということで…、「なんか、とっても難しいことをしてないか?」って思いました。

 

――(笑)

でもやっていくうちにすごい面白くなってきて、ああ、声優さんはこんなにおもしろいお仕事をされてるんだなって、すごく興奮しました。

 

――今後もアニメ作品や声優はやってみたいと思いますか?

機会があればやりたいです!

 

 

◆今後の活動

――今回、久しぶりに本格的な芸能活動再開となりますが、どのように感じましたか?

そうですね、やっぱり現場ってたのしいなって思いました。

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(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

――監督やスタッフのみなさんと話しながら、和気あいあいとやっていった?

音響さんとかも。新谷さんは、ずっと方言指導で付いてくださったりして。役者さんなので、イントネーションだけで言うとこうで、演技で崩すとこうなって、こんな使い方ができる、というのを細かく教えてくださったりとか。それ以外にも、いろんな人のアイデアが合わさって、みんなでひとつのものに向かっていく感覚がありました。とくにこの現場はそういうことを感じました。いろいろ違う考えが混ざり合ってるんですけど、根本的に同じところに向かっていて、めざすところが一致しているような気がして。それがすごい楽しかったです。

 

――じゃあ現場で激しい議論になったりも?

激しいというか、真面目な議論。なんて言ったらいいんだろう…。なんかこう、「うーん…」ってなってる感じ! 監督の演出を受けて、ではどうアプローチするか? 普通に話し合います。静かな集中力というか。

 

――みんなで意見を出し合って、ひとつの作品になっていったんですね。さて、最後に、今後はどんな芸能活動をして、どんなことを目指したいのか聞かせてください。

女優という仕事はずっとやっていきたいと思っていますね。あと、おもしろいことならどんどんやっていきたいと思います。

 

――女優、声優に限らず、アーティストでも幅広くやっていきたい?

そうですね。楽しげにやっていきたいです。見る人に「楽しげだな」って思ってもらえたら!

 

【のんさんインタビュー(全4回)】

次回の最終回では、初めてのアニメ映画主演に際しての経験、そしてのんさんの今後の夢についてうかがいます!

(予告編 )

■『この世界の片隅に』公開情報
2016年11月12日(土) 全国ロードショー
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊)
監督・脚本:片渕須直
出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓/澁谷天外(特別出演)
音楽:コトリンゴ
公式サイト:http://konosekai.jp/

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