『ボクの妻と結婚してください。』人生観を変えるかもしれない名台詞が満載!
主人公・修治が死に向かって確実に進む話でありながら、なぜか優しい印象が残るその一端を担うのは、登場人物が放つ印象的な台詞の数々。原作にも名台詞がたくさん出てきますが、それを織田裕二さん、吉田羊さんら豪華キャストが話すことで、イキイキと胸に響いてきます。『ボクの妻と結婚してください。』三宅喜重監督インタビュー最終回は、セリフにまつわるお話から伺いました。
■演じた皆さんがリアリティを足してくれた
――修治というキャラクターは、劇中でも伊東の結婚観を変えてしまうぐらいの熱量を持った熱いキャラクターで、言葉にも説得力がありました。
本当に実感を込めて言っておられますよね。
――修治の台詞以外にも、生き方の指南として友達に勧めたくなるような名台詞がたくさん出てきました。
それはもう原作の樋口さんと脚本の金子ありささんの力ですね。
――それをこの豪華な俳優陣が本当にリアルに言ってくれるので、感情移入できる映画ですし、その言葉の存在感がぐっと迫ってきます。
それだけ演じられたみなさんに、リアリティという部分を足していただいたんだと思いますね。「台詞」というよりもそれぞれの「言葉」にしていただいたんだと思います。
■登場人物をきちんと描いた後は、観る人に預けたい映画
――明るくて善意や思いやりに溢れた登場人物がたくさん出てきますが、監督ご自身の意図として、観た人を元気づけたいという思いなどがあったのですか?
いえ、今回は◯◯したいというよりは、観た人に預けたいという感じでしたね。「こうなんだよ」ということより、登場人物それぞれをきちんと描いて、観終わった後、観客の皆さんに余韻があればいいなとはすごく思っていました。
――観る人によって、感情移入する人物や感じ方は違いそうですね。
違うと思います。いろんな人がいて、人が亡くなる話でもあるし、残された家族の話でもあるし。僕自身も編集の時から何度も繰り返し観ているんですけど、そのたびにスイッチが入るところが違うというか、観るたびに感情移入するところがけっこう違ったりするので。自分でも不思議だなと思いますが、それだけ登場人物の皆さんが素敵なんだろうなと。
――また、主人公も周囲の人物も最後まで思いやりがあり、みんな気持ちが強いなと思いました。
そうですね。強いというか、みんな自分の周りの人を大切にしていますよね。それがまた自分を大切にすることに繋がっている。
――人を思いやるためには、自分の強さも必要だと思われますか?
思いやることに強さが必要だというより、思いやるから強くなれるんじゃないでしょうか。修治のためとか、残していく妻と子供のためとか、自分が友達になろうと思ったその人のためとか、人を思いやれるから強くなれたんだとは思いました。当然、もともと弱くはないのかもしれないけど。
――最後に、これから映画を観る読者にメッセージを!
笑って泣いて、温かい気持ちになって、相手のことを思いやるのがすごく大事なんだなということを感じていただければ。そして、思いやる人がいるから自分が強くなれるというものが伝わればと思います。友達でも家族でもいいのですが、大切な人、そしてこれから大切にしていきたい人と一緒に観ていただけるといいかなと思います。
【三宅喜重監督インタビュー(全4回)】
(1)織田裕二の持っている”少年らしさ”がハマった
(2)現場では織田裕二がピッチャー、吉田羊がキャッチャーという感じでした
(3)ディテールを積み上げることで得られるリアリティ
(4)人生観を変えるかもしれない名台詞が満載!
( ↓ 予告編 ↓ )
■『ボクの妻と結婚してください。』公開情報
2016年11月5日 全国ロードショー
監督:三宅喜重
原作:樋口卓治『ボクの妻と結婚してください。』(講談社文庫)
脚本:金子ありさ
出演:織田裕二 吉田羊 原田泰造 込江海翔 森カンナ 眞島秀和 佐藤ありさ 前川泰之 大塚千弘 小堺一機 大杉漣 / 高島礼子
音楽:菅野祐悟
主題歌:中島美嘉『Forget Me Not』(Sony Music Associated Records)
公式サイト:http://bokutsuma-movie.com/