『ボクの妻と結婚してください。』現場では織田裕二がピッチャー、吉田羊がキャッチャーという感じでした
『ボクの妻と結婚してください。』三宅喜重監督インタビュー第2弾では、息ピッタリだった夫婦役の織田裕二さんと吉田羊さん、そして妻の理想の結婚相手を演じた原田泰造さんの現場での様子を伺いました。
■ピッチャー織田裕二&キャッチャー吉田羊というバッテリー
――修治の妻・彩子を演じた吉田羊さんの最初の印象は?
なんだかパキッとした方だなと。撮影に入る前に初めて会議室のようなところで会ってお話をした時にはすごくはっきりした方という印象で、あと、頭のいい方で端的におっしゃるなということを思いました。
――脚本を読んで人物像は把握済みで、必要最低限のことを監督に尋ねながらという感じでしょうか?
そうですね。逆に「自分はこう思うので、もし違ったら言ってください」というようなスタンスなのかな。
――「彩子」はかわいらしくて夫に優しくて寛容で、全人類の理想の妻と言ってもいいのでは?
基本的にご主人のことを立てながら、手のひらで遊ばせているというか泳がせているというか(笑)。撮影現場での芝居のやりとりとしては、織田さんがピッチャーで吉田さんがキャッチャーという感じがしていたんです。基本的に話の構造上、先に何かをしでかすのは修治なんですけど、時々羊さんからもすごい球がバーンと返ってくる。アドリブもそうですけど、思った以上に「彩子」だったという感じですかね。
――なるほど。役柄に入り込み、夫婦になりきっていたという感じでしょうか?
現場で一緒にいても普通に違和感もないですし、お二人とも現場で撮影している時は「織田裕二」「吉田羊」ではなくて、「修治」と「彩子」な感じでしたね。
――織田裕二さんは「末期がん患者」という役柄通り、本当に痩せていきますね! 実際に食事制限もされたそうですが。
話もだんだん痩せていく設定ではあるので、痩せるのか痩せないのか、どれぐらい痩せるのかというお話はしていたんです。でも、この期間を空けるのでこの期間に痩せてくださいというスケジュールは組めなかったので、並行しながら痩せていったという感じですね。で、ある時、がんで余命も幾ばくもないというシーンを撮る時にそういうメイクをすると、「えっ、こんなにやつれてたの?」と気付くという(笑)。何キロ痩せたとはおっしゃらないと思いますが、けっこう痩せられたんじゃないかと思います。
■原田泰造さんは思った以上に“かっこいい”仕上がりに!
――彩子の理想の結婚相手・伊東正蔵を演じたのは原田泰造さんですが、満場一致で「感じのいい人」ではないでしょうか。現場でもそうでしたか?
そうですね、感じのいい人ですね(笑)。まあ当然こういう役なので、そういう役作りをされてたとは思うんですけど、現場でも物静かで優しい感じで、ジェントルマンというか紳士ですよね。お笑いの時はあんな感じですけどね(笑)。
――お笑いモードのテンションの高さに比べ、役者としての原田さんはまったく違う印象だったと。演技のご指導はされましたか?
お話はしながら撮影はしましたが、別にそんなに細かくは言っていなかったと思います。ただ、いい人の役だとは思って撮っていましたが、観終わった後に思っていた以上にかっこいいというか(笑)、そんなふうに仕上がっていますね。
――現場の雰囲気も良かったのでは?
ずっと喋っておられましたね。織田さんはたぶん喋るのがお好きな方だと思うんですけど、織田裕二さんと吉田羊さんの「ご夫婦」もだし、原田泰造さんとのシーンだとお二人でずっと喋っておられるし、高島礼子さんとのシーンでもやっぱり待っている間もずっと喋っておられますし。それでコミュニケーションをとって、いつのまにかそれぞれの世界を作っていっておられるのかなとちょっと思いました。
【三宅喜重監督インタビュー(全4回)】
(1)織田裕二の持っている”少年らしさ”がハマった
(2)現場では織田裕二がピッチャー、吉田羊がキャッチャーという感じでした
(3)ディテールを積み上げることで得られるリアリティ
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( ↓ 予告編 ↓ )
■『ボクの妻と結婚してください。』公開情報
2016年11月5日 全国ロードショー
監督:三宅喜重
原作:樋口卓治『ボクの妻と結婚してください。』(講談社文庫)
脚本:金子ありさ
出演:織田裕二 吉田羊 原田泰造 込江海翔 森カンナ 眞島秀和 佐藤ありさ 前川泰之 大塚千弘 小堺一機 大杉漣 / 高島礼子
音楽:菅野祐悟
主題歌:中島美嘉『Forget Me Not』(Sony Music Associated Records)
公式サイト:http://bokutsuma-movie.com/