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「妻が死んだ。」「これっぽっちも泣けなかった。」この衝撃的な言葉で始まる予告編は…本木雅弘さん主演、西川美和監督作品「永い言い訳」のモノだ。

人気作家の津村啓こと衣笠幸夫（本木雅弘）は不倫相手と密会中に、妻（深津絵里）が不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったとの知らせを受ける。しかし、幸夫は妻の死に涙を流すことさえできない。そんなある日、妻の親友の遺族であるトラック運転手の夫・陽一（竹原ピストル）とその子供達に出会う。ふとした思いつきからその幼い兄妹の世話を買って出た幸夫は、誰かのために生きることの幸せを初めて知っていくのだが――。

今週末10月14日（金）に全国公開される映画『永い言い訳』は、人を愛することの素晴らしさと歯がゆさを描ききった、かつてないラブストーリー。直木賞候補にもなった自らの原作小説の映画化に挑むのは、『ディア・ドクター』や『夢売るふたり』など、常にオリジナル脚本を書きおろし、その手腕を高く評価されてきた西川美和監督です。

10月3日、この映画の公開を記念し、試写付きトークイベントが開催されました。今回はその模様を4回に分けてたっぷりお届けします！

映画「永い言い訳」トークイベントに登壇する西川美和監督と本木雅弘さん

まず登場したのは主演を務めた本木雅弘さんと西川美和監督。２人の登場に、会場からは大きな拍手が起こります。まずは、本木さんから観客のみなさんに向けてご挨拶が…「いよいよ公開が近づき、映画が世の中に本当の意味で晒される瞬間を迎えるのは、出演者としてもドキドキします。この話は非常にしんどい部分もあり、そしてストーリーそのものは劇的な瞬間を迎えていくものではないのですが、何かこうじわじわっと、皆さんそれぞれの年齢・立場に響いてくるものがある。私自身も出来上がった作品を観てそのように感じておりますので、ぜひ身につまされていただきたいと思っております」

（ｃ）2016「永い言い訳」製作委員会

続いてマイクを握った西川監督からもひとこと挨拶がありました。「最初にアイデアを思いついてから5年の歳月が経っているんですけれど、いよいよ自分の手から離れて作品がお客様のものになっていくんだなという実感が湧いてまいりました」

このイベントに先立って完成披露が行われ、一般のお客様にもお披露目となった『永い言い訳』。この映画への反応や反響を聞かれると、本木さんは「自分では客観的に観られないところがあるんですけど…」と前置きしながら、実に様々な感想をいただけることが嬉しいと話します。「観終わった瞬間にお客様の中で完結してしまうものではなくて『鑑賞後から考え始めるという珍しさがある』という感想を貰ったりとか、日本映画には珍しく『人との繋がりとか関係の覗き方にフランス映画の情緒を感じる』と言ってくれた方もいます。おそらくそれは、スーパー16ミリというフィルムの種類にもよるんだと思いますけど、そういう意味でも珍しさが詰まった映画になっていると思います」（本木さん）

いま主流となっている「デジタル」ではなく「フィルム」を使っての撮影。さらに約1年という贅沢な製作期間をかけて撮影された今作は、妻を亡くした男と、母を亡くした子供たちとの出会い、そして「新しい家族の物語」を温かく繊細に映し出しています。

この作品は9月に「第41回トロント国際映画祭」のスペシャル・プレゼンテーション部門に出品され上映されています。さらに、今後も海外での上映が予定されているそうですが…文化や価値観の違う海外の観客に「永い言い訳」はどのように映ったのでしょうか？　西川監督によると、トロントでの反応を見る限り、日本の反応とあまりズレはないそうで、中には「私は“幸夫”だ」と主人公に自分との共通点を見出すカナダ人もいたのだとか。それを受け本木さんは「人間のボロさ、ダメさっていうのは世界共通なんですね」と言い、会場の笑いを誘っていました。

さて、トークショーではここでサプライズゲストの登場。その方とは、なんと本木雅弘さんの姑でもある樹木希林さん。この後の模様は、次回お伝えします！

【「永い言い訳」トークイベントレポート（全４回）】
（１）妻が死んでも、ちっとも泣けない…そんな夫はクズですか？
（２）私には男を見る目がないの？　樹木希林さんの答えとは？
（３）『永い言い訳』の撮影現場で発覚！本木雅弘の“家事スキル”はハンパない！？
（４）不倫してしまいそう…どうしたら？ ３人が出した答えとは？

■『永い言い訳』公開情報
2016年10月14日（金）　全国ロードショー
原作・脚本・監督：西川美和
出演：本木雅弘・竹原ピストル　藤田健心　白鳥玉季　堀内敬子・池松壮亮　黒木華　山田真歩・深津絵里
挿入歌：手嶌葵『オンブラ・マイ・フ』
配給：アスミック・エース
公式サイト：http://nagai-iiwake.com/