イケメンに興味がない監督が稲垣吾郎、真剣佑を起用した理由 

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女子高生の心の闇を描く『少女』には、監督のイチオシの(!?)3人のイケメン俳優が競演しています。今回は、その3人を起用した理由、演技について三島有紀子監督にお話を伺いました。

 

 

■真剣佑は演技に渇望している人

 

――由紀の彼氏役:牧瀬光を演じた真剣佑(マッケンユウ)は、まだ日本の映画ではあまり観たことがない俳優さんです。

そうですよね、今は人気者ですが、このオーディションをした時は、ほんとにまだ全然出てない時期ですからね。

 

――既に役者というものに哲学を持っていそうな存在感のある人ですが、どんな人ですか?

最初、私はイケメンに全然興味がなくて(笑)。プロデューサーに漠然と「イケメンを1人キャスティングに入れてもらいたい」というオファーをされた時は、すいません私イケメンに興味がないのでちょっと厳しいですねという話をしてたんですね。

 

で、牧瀬光ってどういう男なのかなって思った時に、非常に知的欲求が強くて好奇心の塊みたいな人で。あの年齢の男の子って女の子に興味があるのに、むしろ知的欲求の方に興味があるというか、「人間が朽ち果てていくってどういうことなんだろう」とか哲学的なことに傾倒しているとてもクレバーな男子ですよね。

 

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どういう人がやってくれたらいいのかなと思っていた時に、真剣佑さんがテレビのバラエティ番組に出ていて、なんかこう黒い目をキラキラさせて喋ってたんですよね。その時、そのキラキラした目で「死ってさ、退場だと思うんだよね」ということを言う子なんじゃないかと思ったんです。

 

――イメージがしっくり来たと。

まあそれまでも色んな方にはもちろん会ってるんですけど、それで真剣佑さんに一回会わせて欲しいと言って会った時に、彼は、自分がこの役を演りたいとか、演技をしたいということにものすごい渇望している人で。

 

私はやっぱり、演技をしたいとか、演じてないと死ぬんだぐらいの渇望している人がいいなと思うんですよね。牧瀬光も非常に渇望している人間で、由紀のことを女の子としてというよりは、同じことに興味を持っている同士だから一緒にいる感じの人なので、ちょうど面白いんじゃないかと思って。

 

――本人もそういう哲学的な傾向の男の子だったんですか?

真剣佑本人は「死」に興味はまったくないですね。そういう意味では非常に健全なんです。全然タイプは違うと思います。ただ、「芝居をやりたい」「この役に興味がある」ということにすごく熱意がある人なんで、いいんじゃないかと。

 

――好奇心の向きは違えど、その熱量は同じという感じ?

そうですね。

 

 

■稲垣吾郎さんは「崇高」な感じが出せる人

 

――もう一人、イケメンといえば高雄孝夫役の稲垣吾郎さんがいるじゃないですか! 今回はアイドルなのにも関わらずひなびた感じでしたが。

ひなびた感じが良かったですね(笑)。

 

――稲垣吾郎さんのキャスティングはどういう経緯で決まったんですか?

もともと『十三人の刺客』(2010年・三池崇史監督)を観ていて、稲垣さんのあの強烈な“犬食い”の芝居を観て。きっと三池さんが芝居をつけたんだろうなと思いながらも、それをこんな風に演れるっていうのは素敵な役者さんだなと思ってたんです。

 

稲垣さんって舞台を観てても芸術家の役だったり、普通の人の役ってあまりないんですよね。そんな人に、普通に地道に生きてきて、色んな事があってもそれを運命と受け入れて、粛々と生きているっていう役を演ってもらったら面白いんじゃないかなと思っていたんですよ。

 

高雄孝夫って、ある種、1人だけずるくない大人というか、唯一の被害者なんです。他はみんなずるいんですけど、この人だけが悪いことを考えていないというか、人を憎まない。その上、唯一人を許せる人間なんです。その「崇高」な感じも出せる人って誰なんだろうと考えた時に、稲垣さんってちょっと崇高に見えるなと思ったんですよ。

 

――担任の先生を演じたアンジャッシュの児嶋さんは?

児嶋さんはもともと黒沢(清)さんの『トウキョウソナタ』で観ていて、ご一緒したいなと思っていて。あれも先生役なんですけど、今回もまたちょっと違うウザい教師で(笑)。

 

――では先生役で一度起用してみたかった役者?

そうですね、あの女子高校生時代のずるくて、実は自信のない先生をやってもらいたいというか(笑)。児嶋さん、「無」で現場に来る人なんですよ。考えてこられるんですが、何かを作り込んでくるということじゃなく、本当に「無」で来るんですよ。無の境地ということの強さというのを知りました。

 

【三島有紀子監督インタビュー(全4回)】
(1)山本美月が転落する姿を見たかった
(2)イケメンに興味がない監督が稲垣吾郎、真剣佑を起用した理由
(3)女子の友だち関係って恋愛に近い
(4)女子の世界を男性にのぞき見してもらいたい

 

 

■『少女』公開情報
2016年10月8日 全国ロードショー
監督:三島有紀子
脚本:松井香奈/三島有紀子
原作:湊かなえ『少女』(双葉文庫)
出演:本田翼 山本美月 真剣佑 佐藤玲 児嶋一哉 菅原大吉 川上麻衣子 銀粉蝶 白川和子/稲垣吾郎
音楽:平本正宏
主題歌:『闇に目を凝らせば』GLIM SPANKY
公式サイト:www.shoujo.jp

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