瑛太の芝居はおもしろい!...監督にまた仕事をやりたいと思わせる俳優の居住まい
瀬々敬久監督へのインタビュー最終回は、新聞記者・秋川を演じる瑛太さんについて語っていただきました。記者クラブの代表として佐藤浩市さん演じる県警広報官・三上と衝突し、常に存在感を示す瑛太さんの演技はいかにして生まれたのか? さらに、映画『64-ロクヨン-前編/後編』の…ズバリ…見どころとは…?
■瑛太さんの芝居はおもしろかった
――若手の俳優さんたちの印象はいかがでしたか?
瑛太さんの芝居は面白かったですね。テストのたびに違うことをやるんですよ。それを「こんなことやってますよ」って押し付けがましくやるんじゃなくて、いつの間にかいろんなことをやっているんですよ。
――どういう変化をつけてくるんですか?
記者クラブだと椅子に立ったりとか、あの中でゴミを投げつけるところはテストではまったく違うことをやったりだとか、立ち位置に関してもこっちにいたりあっちにいたりとか。で、どんな感じですかねと最終的に聞いてくるような。だから自分ですごく考えていろんなことを試している役者さんだなあと。あとなんて言うんですかね、「俺を見てくれ」光線はそんなになくてですね(笑)。
――(笑)。自己アピールは控えめで、言うなれば居住まいがよかった?
そうですね、居住まいがすごく良かったです。それがすごくいい感じでしたね、新鮮でもあったし。たぶん、そういう歳なんじゃないですか? いろいろ経て。
――なるほど、これからまた更に楽しみな役者さんですね。では、次回作もまた一緒にやりたい?
機会があればぜひやりたいと思います。
■人間ドラマ、サスペンス――それぞれ楽しみ方がある
――撮影をする中でここは“泣きどころ”だとか、観客の反応を意識して撮られますか?
いや、撮っているときは意識しないですね。
――役者さんの芝居を見ていて「ここはグッと来るな~」っていうのはありますか?
そりゃありますよ! それは当然ありますけど、そこは現場であまりのめり込んじゃうと、良くないことが多いんで(笑)。
――感じるとしたら脚本を読んでいる段階、絵コンテ段階で、現場に入ったら客観性を持ってということですね。
ええ、そうですよね。
――では最後に、これから前編を観る方、後編が早く観たいなと思っている方に向けて、監督からひとことお願いします。
前編は、組織と個人とかそういう問題も含めて、すごく人間ドラマになっていると思うんですよね。先ほど観ている方で泣いた方もおられたとおっしゃいましたが、三上を中心とした様々な人間ドラマが展開していって、そういう意味ではヒューマンドラマに近い肌合いのする作品だと思うんです。
後編は後編でまた、64事件に関する真相が解き明かされていくというサスペンスな要素が非常に大きいエンターテイメントになっていて、まあ、それぞれ肌合いの違う作風にはなっていると思うんですよ。それぞれ楽しみ方があるんで。ただ、通底しているものは同じなんですけど。
後編が始まった頃には両方一気に見られるという状況もあると思いますので、ぜひ時間をおかずに前編・後編の両方とも観ていただければ。
■『64(ロクヨン)』公開情報
*前編公開:2016年5月7日
*後編公開:2016年6月11日
原作:横山秀夫『64(ロクヨン)』(文春文庫刊)
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、瑛太、永瀬正敏、三浦友和
主題歌:小田和正「風は止んだ」(アリオラジャパン)
公式サイト:http://64-movie.jp/