河瀬直美監督が登壇 アルファロメオ I LOVE CINEMA 2016 レポ(2/4)
「人、車、映画、その3つがつながり、それぞれがビルドアップしていければ…」映画コンペ開催に込められた想いについて、Alfa Romeo/マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセさんにお聞きした前回のインタビュー。今回は…イベントにゲストとして訪れていた、第69回カンヌ映画祭の短編コンペティション部門/シネフォンダシオン部門の審査委員長でもある河瀨直美さんのお話をご紹介します!
■文化と文化が合わさることで、何かが花開く
―――自身が実行委員会会長を務める「なら国際映画祭」について
今度の「なら国際映画祭」では、LGBTをテーマにした企画もする予定で、レスリー・キーさんという写真家の方が撮影した1000人のLGBTの方のポートレートを使って、世界遺産のお寺などで写真展を開催できるといいなと思っています。
1300年の歴史がある奈良は、日本人にとって、“ふるさと”と言える場所。その場所には当然、これまで継承されてきた想いがあります。そこに海外から人や文化が渡ってきて、合わさることで、何かが花開く瞬間があると思うんです。自分と違うものを受け入れ、自分の中に別のものを存在させる。これを一人ひとりがやる。私はこれが、地球が元気になる近道だと思います。
■「I LOVE CINEMA」をやる意義
―――「I LOVE CINEMA」について
この「I LOVE CINEMA」に関しても、作品を通して、みんなが一人ひとり、違うものを受け入れて、そこから新しいものが生まれ、みんなが笑顔になる。それをアルファロメオさんがサポートするというのは素晴らく意味のあるものだと思います。支援のカタチについては、お金の面であったり、広報的な面であったりといろいろあると思いますが、いずれにせよ、イメージとイメージが融合する瞬間というのは、誰もが見たことないような笑顔の起爆剤になる可能性があります。「I LOVE CINEMA」にしても「なら国際映画祭」にしても、そこに大きな意味があると思います。
―――今度の「なら国際映画祭」でも新たな試みに挑戦
映画祭はただ映画を見る祭典と思われる方も多いと思いますが、「なら国際映画祭」では、映画祭用に新たな映画を作るという試みをしています。誰が作るかというと、コンペティションで賞を獲ったキューバ人監督で、しかも、舞台は奈良です。私はいま、そのプロデュースをしています。
キューバ人の監督が奈良に来て撮影をするというのもドキドキしますが、キャストも藤竜也さんというなかなか渋い方が出てくださいます。一体どんな映画になるのか、コラボのイメージがない分、ここでまた新しいものが創出されると思っています。
―――地元の方々の反応
そして、映画を撮っていると、地元の方々にも大きな反応があって、なんかわくわくしだすんですね。映画によって切り取られるたくさんの街のシーンを見て、自分の街や村には、こんな宝物が隠れていると再発見ができるんです。それは若い人たちにも同じで、みんな僕らの村ってこんなに素晴らしいんだと認識できます。
私たちは“レッドカーペットはカンヌだけじゃない”という想いで、奈良の世界遺産の公園とか、お寺の下にある階段にレッドカーペットを敷いたりもしています(笑)。
■映画も車も、そこには人間がいる
―――映画を通して、新たな人の物語が生まれる
「映画」と「車」という組み合わせも、一見イメージは重ならないですが、考えてみれば人間がそこにいるというところは同じ。映画を見て、“ジュリエッタが好き”“赤が好き”とそれを感じるだけで他の人との共感が生まれる。そして、ジュリエッタが好きになった人がそれを運転する。一緒に誰かを乗せる。そうするとまた新たな物語が生まれる。そうやって人と人とのつながりがどんどん生まれていって欲しいです。
これが世界に向けて、欧米、アジア、果ては地球全体に広がって、皆が手を取り合って温もりを伝え合えるようになればいいなと思います。シネマは明るい未来が待っています! ⇒(3)へ
■「I LOVE CINEMA」情報
I LOVE CINEMA 2016 ノミネート4作品全編公開中!
『サクマくんはママのカレシ』
『秘密』
『好時、時節を知る』(審査員特別賞受賞)
『助手席にジュリエッタ』(グランプリ受賞)
■「I LOVE CINEMA2016」レポート
(1)名作映画の中に名車あり
(2)河瀬直美監督が登壇
(3)ノミネート4作品 監督インタビュー
(4)ショートフィルムはテーマが決まっていると個性の違いが楽しめる