奇跡が舞い降りる人の条件とは? 『俳優 亀岡拓次』横浜聡子監督(4/4)

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前回のインタビューで明かしてくれたリアルな撮影現場でもあったいろんなハプニング。撮影現場自体がまさにドラマなんだと感じさせられました。さて、最後のインタビューとなる今回は…これまでおこなってきた「亀岡的生き方の考察」のまとめとして、「なぜ亀岡には奇跡的芝居が舞い降りるのか」、その理由を監督にお聞きしました!

 

 

■「映画の時間」と「舞台の時間」

―――作中、亀岡に対して大物舞台女優が“あなたの中には映画の時間が流れてる”と評したセリフがありました。これは亀岡の何を表しているんでしょうか?

このセリフについては、原作に似た表現があって、少し変えて使わせてもらっているんですけど、どういう意味なんでしょうね? 考えれば考えるほどよくわからないですね。

 

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―――監督もわからないんですか?

じつは、安田顕さんとも“このセリフってどういう意味なんだろうね?”って話した記憶はあるんですけど、結局結論は出なかったんです。

 

 

―――監督の今の解釈で言うと?

う~ん…「舞台の時間」と「映画の時間」が違うと言っているわけですからね。おそらく、映画っていうのは、複数のカットの断片を切り貼りして、ひとつの時間に繋がっているように見せる。一方で、演劇はその瞬間、連続した1つの時間しか流れていないわけですよね。つまり映画の時間というのは、本当は全然繋がっていない。より「フィクション」に近いものなのかなと。

 

 

―――その言葉を亀岡に対して言うと?

つまり…亀岡という人間がフィクションみたいな人ってことなんでしょうかね(笑)。

 

 

 

■亀岡にはなぜ奇跡が舞い降りる?

―――そんな亀岡には、どうして奇跡的な芝居が舞い降りるんでしょうか?

奇跡とか偶然を呼び込むというのは、誰にでもできることではないですよね。最初から準備したことをやるのは簡単なんですけど、予想外のことをやるっていう方が難しかったりするわけで…亀岡は自分がそういう予想外のことをやろうと意図していないからこそ、呼び込めるんじゃないかと思います。

 

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―――狙ってないことが重要なんですね

おそらく、“俺は隙あらば面白いことをやってやるぞ”っていう作為的な人間だったら、そういう偶然は起こせないんですよね。亀岡は、あまり考えずに生きているだけかも知れないですけど、それが映画に愛されていることに繋がっているんでしょうね。

 

 

 

■余裕が奇跡を呼び込む

―――亀岡は映画に対しては真摯ですよね

確かに芝居に対して手を抜くってことはしてないです。そう考えると、奇跡の理由は、その都度その都度一生懸命やってきたことの積み重ねとも言えるかもしれませんね。積み重ねがある分、余裕があると。

 

 

―――なるほど。余裕があるからこそ、そのスペースに奇跡が舞い込むんですね

そうですね。余裕がない人ってすごくダメじゃないですか。ダメって言ったらアレですけど(笑)。亀岡が歳を重ねることで作られた余裕なのかもしれません。

 

 

―――私も亀岡のような生き方に興味が沸いてきました。気が早いですが続編の予定は?

お客様がたくさん入ってくれれば続編も作れますので、ぜひ皆さんに見て欲しいです。また亀岡は撮りたいです。自分の映画のキャラクターとして本当に大好きですから。

 

 

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■「俳優 亀岡拓次」情報

*1月30日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー

監督・脚本:横浜聡子

原作:戌井昭人「俳優・亀岡拓次」(フォイル刊)

出演:安田顕、麻生久美子、宇野祥平、新井浩文、染谷将太、浅香航大、杉田かおる、工藤夕貴、三田佳子、山﨑努

音楽:大友良英

協力:文藝春秋(「俳優・亀岡拓次」文春文庫刊/「のろい男 俳優・亀岡拓次」文藝春秋刊)

製作:『俳優 亀岡拓次』製作委員会

配給:日活

公式サイト:http://kametaku.com/

(C)2016『俳優 亀岡拓次』製作委員会