理想的なメディアのカタチとは? ドキュメンタリー映画『変身 - Metamorphosis』堀潤監督(4/4)
堀さんが、映画や映像を撮る際にこだわっている点について語られた前回のインタビュー。最後はあらためて、今後堀さんが目指すメディアのカタチについてお聞きしました。
■スポンサーからお金を出してもらってやろうっていうのは性に合わない
―――堀さんは取材資金などをクラウドファンディングで集めていますが、映画や8ビットニュースなどをビジネスにしようとは思わなかったんですか?
そうですね。スポンサーからお金を出してもらってやろうっていうのは性に合わないんです。やっぱりそこは公共放送出身だからなのか、皆さんに支えられた中で真っ直ぐ勝負しようって言う思いがあります。ある意味そういう術しか知らないっていうのもあるんですけど(笑)。だから、どこかの企業から資金をもらってとかいう意識はないです。
―――その映像を見たいという人が純粋に“受信料”を払うカタチになるんですね
まあ、映画で言うとビジネスにするっていうテーマでもなかったですし、僕の志を支援してくれる人に対してちゃんと伝えますっていう緊張関係を持ちながらやっていきたいので。あとはやっぱり見てくれる方に当事者性を持ってもらうことが大事ですからね。
■目指すのは各メディアの「協業」
―――堀さんが思い描くメディアの理想形とは?
一言で言うと「協業」ですね。今までは、マスコミはマスコミ、市民メディアは市民メディアという完全に別れたものだったと思うんですけど、僕はそれが「協業」していけばいいと思っています。
―――例えばどういうカタチですか?
例えば、個人が一次の情報を発信する。次にwebメディアがそれを保管する。それが拡散すれば新聞の取材が入る。新聞は取材力がありますから、そこに話題性を感じれば今度はテレビが入ってくる。それがまた広がって今度は海外にも発信されるようになる。するとだんだん世の中が変わる。そういう連鎖が起きればいいなと思っています。今は本当にそういう取組をやっているんです。
■発信者はあなた自身
―――各メディアがそれぞれの強みを上手く活かせるカタチが理想なんですね
インフラとしてどこも特性や強みを持っているので、そこの接続を上手く繋ぎたいというのが理想です。せっかく個人が勇気を持って出した情報を、私たちは孤立させませんよと。私達がまずwebでカタチとして残しますと。そこから新聞、テレビと…。そうして、困っている人達を救うにはどうすればいいか、世界中から知恵が集まって、その人達が救われるというストーリーがたくさん出てくればいいなと思います。
―――何かを伝えたいと思っている人にとっては非常に頼もしい存在ですね
そうですね。ただ、そのスタートはあなた自身なんですというところを訴えていくのも大事にしています。誰でも、一生のうちに一度は、これは許せない、困った、俺の声をちゃんと聴いて欲しいという想う瞬間が必ず来ると思うんです。その瞬間が世界で1秒ずつずれて訪れれば、毎日世界を変えられると思うんです。それをメディアみんなで協力し合えればいいなと思っています。
【取材後記】
余計な私情を挟まない公共的な情報発信の中で、いかに当事者の日常感や共感を伝え、見ている方の心を動かすのか。とても難しいけれど、そこが報道マンの腕の見せ所になるのかなと感じました。『変身2』の公開、楽しみです!
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■映画「変身」情報
映画「変身」公式サイト:http://unitedpeople.jp/henshin/
8bitnews公式サイト:http://8bitnews.org/
ジャーナリスト・堀潤の公式ページ:https://www.facebook.com/8bitNews.HORIJUN