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NHKを変えたいと思い入局された堀潤さん。前回は、そのNHK入局の経緯から、現在の活動の基礎を作った下積み時代についてお聞きしました。今回は…堀さんが東京の局に移ってから退職するまでの間、NHKの中で感じたことについてお聞きしました。

■NHK全体が民放を見て勉強

―――東京の局に移ってからの状況はどうでした？

僕にとって幸いだったのは、2003年頃にNHKでいろいろ不祥事が起きて、改革の気運がちょうど高まったことがありました。そこで、全国からNHKを変えたいと、同じ思いを持った職員が集まったんです。みんな、そのときは、民放のやり方を見ながらそっちの方がスゴイと思って勉強していました。取材現場では、寝ずにひたすらカメラを回しな

がら一軒一軒訪ねるっていう地道なやり方も見てましたし。

―――取材方法が変わると、やっぱり伝えられる情報も変わってきますか？

情報の出所が、ただ警察からのものがベースっていうのと、近所のおばちゃんの生の声っていうのは全然質が違いますからね。「ニュースウオッチ9」なんかはそういうところを大事にしようと立ち上がりました。

■震災を機に“フリーのNHKマン”に

―――ここまでのお話は堀さんにとっても良い流れに見えますが、そこからなぜNHKを退職することになったんですか？

2011年に東日本大震災という大きな災害がありましたが、平時に上手く進んでいた改革が、混乱期になると急にめちゃくちゃになっちゃうということがあるんですよね。そういう混乱の中でも、改革の精神を失わずにいられればと思っていたんですけど、その気運がぐしゃっと潰れちゃったんです。権力からの締め付けもあり、コントロールされてしまったなと感じたことが多かったです。

―――例えばどんな部分ですか？

例えば原発問題とかになると、大きな国策そのものですから、報道する側も“冒険するテーマではない”となってしまう。そうなると、一体誰のためのNHKなんだという感じがしました。内側で改革を目指した僕らとしては、上や全体の空気がこの感じではしんどいなと思ったんです。だから一旦疎開しようと思ってやめたんです。

―――NHKを離れたのは“疎開”なんですか？

はい。だから僕はよく自分のことをフリーのNHKマンって言ってます。戦争じゃないですけど、ずっとNHKに中にいると火の粉に当たってしまうので、一旦疎開すると。それで外に出ている間、メディアでやれることをめいいっぱいやってみようと思ったんです。こういう発信の仕方もある、SNSを活用すればこういうこともできるって。そして、ほらNHKさんもやれることいっぱいあるんじゃないですかって提案していけば、そこからまた何か変えられるのかなと思ったんです。だから、実は今でもNHK内の皆さんとはよく話をするんですよ。

―――まだ連絡は取っているんですね

もちろんNHKの中にも、本当の報道マン達は多くいて、彼らとは一緒にどう闘っていこうかって話もしています。まあダメな人はやっぱりダメなんですけどね。ソリティアばっかりやってるとか、家のローンをどう返すかばかり考えているとか（笑）。そういう私的なことばかり主眼になっていると、ジャーナリストとしてはダメですよね。

■いろんなメディアが、公共的なメディアの在りようを考えることが大事

―――組織にいるかいないかは関係ないんですね

このメッセージは世に出さなければいけない、ちゃんとそれを判断できる人達はNHK内外にちゃんといるってことです。そうやって、同じ方向を見ている人達が、いろんなメディアを使って発信していけばいいと思っています。NHKだけじゃなくて、いろんなメディアが、公共的なメディアの在りようを考えて、誰かを苦境から救うための知恵を集めるにはどんな発信が望ましいのか、模索することがすごく大事だと思っています。よく、制作者たちはよく、コレで首切られたらどうしようとか考えたりしますけど、それは私的な感情ですからね。

（１／４）『変身 － Metamorphosis』堀潤監督　メディアが間違ってくると世の中が…

（２／４）『変身 － Metamorphosis』堀潤監督　改革の機運がグシャっと潰れちゃった

（３／４）『変身 － Metamorphosis』堀潤監督　映画には当事者性を持たせる力がある

（４／４）『変身 － Metamorphosis』堀潤監督　理想的なメディアのカタチとは？

■映画「変身」情報

映画「変身」公式サイト：http://unitedpeople.jp/henshin/

8bitnews公式サイト：http://8bitnews.org/

ジャーナリスト・堀潤の公式ページ：https://www.facebook.com/8bitNews.HORIJUN

堀さん出演ラジオ：http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/