メディアが間違ってくると世の中が... ドキュメンタリー映画『変身 - Metamorphosis』堀潤監督(1/4)

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今回のインタビューは…元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤さん。ニュース番組「Bizスポ」「ニュースウオッチ9」と聞くと、パッと顔を思い出す方も多いのではないでしょうか。堀さんは、2013年にNHKを退職すると、ジャーナリストとしてはもちろん、NPO法人代表、ラジオパーソナリティ、大学客員教授、テレビのニュース番組MCなど様々な分野で活躍。2014年には福島第一原発事故を題材にしたドキュメンタリー映画『変身』も話題となりました。今回は、そんな堀さんに、まずはアナウンサーになっ

たキッカケ、ルーツをお聞きしました。

 

 

 

世の中終わっちゃえばいいのにとさえ思っていた学生時代

ーーーそもそも堀さんがアナウンサーを目指したキッカケは?

じつは別に“アナウンサー”を目指していたわけではないんです。もともと僕はけっこうダメな学生で、パチンコばっかりやってたんです。何か人の役に立ちたいとかもあまり思ってなかったですし(笑)。バブルがはじけたあと、神戸連続児童殺傷事件があったり、オウムの事件があったりもするなか、世の中に何の期待もしてなかったんですよね。もう世の中終わっちゃえばいいのにとさえ思ってました(笑)。

 

 

―――そこまでで!? そこからどういう経緯でメディア業界へ?

大学で音楽したり、アルバイトで学習塾の講師をやったり、ドイツに留学したりしてたんですけど・・・だんだんと、どうせ社会に出るんだったら何か貢献できるようなことをやりたいなと思ったんですね。ちょうどそのとき、卒論のテーマを「ナチスドイツと太平洋戦争下のNHK」にしてたんですけど、とにかくメディアの在り方とか情報発信が間違ってくると世の中が不幸になるなということを強く感じて、それは今の世の中も全然変わってないじゃんって思ったんです。だからメディア業界をなんとか変えたいなと。

 

ーーーそれでNHKに?

そうです。戦前・戦中・戦後、メディアの「ド本丸」であるNHKに入るか、逆にそこ以外から入ろうか迷いましたけど。当時、週刊文春で報道カメラマンの宮嶋茂樹さんが活躍されていたのも見ていましたし…(メディアはハードルは高いなと思いながらも)受からないだろうなと思って一応NHKを受けてみたら入ることになりました。

 

―――最初にも仰っていましたが、よく我々がイメージする、原稿をきれいに読むという“アナウンサー”を目指したわけではないんですね

そうですね。今も「JAM THE WORLD」(J-WAVE)っていうラジオのパーソナリティもやらせてもらっていますけど、アナウンサーやっていたのに滑舌悪いって言われちゃいます。でも、僕は元々そういうアナウンサー技術には主眼を置いていたわけじゃないので大きくは気にしてなかったです。まあ気にしてないって言うのもアレですけど(笑)。

 

 

 

映画『アンカーウーマン』で見た報道マンの姿

―――NHKに入ってからはどういうスタンスで仕事をされていたんですか?

いわゆる“アンカー”というポジションですかね。じつはメディア業界を目指したキッカケの1つに、映画の『アンカーウーマン』という作品を小学生の頃に見たというのもありました。アメリカの地方局の中で、1人の女性が自分で取材しながらスクープを撮って、やがては全国区のキャスターになる。そういう作品なんですけど、そのイメージから、自分もちゃんと現場に行って取材するのが“アナウンサー”っていうものだと思っていました。

 

 

―――現場でのギャップはありましたか?

日本の場合は、もともと正社員制度で守られているし、映画のように結果を出して、だんだんのし上がっていくって感じではなかったですね。“アナウンサー”というのは本当に原稿を読む人という感じでした。ただ、僕は、やはり自分で撮って来たものを出して、それが評価されて上にいくものだと思って入って来ていたのでそのギャップはありました。

 

 

 

取材先の方が“1人で来たの?”と驚いていた

―――それでも堀さんは積極的に自分で取材も行かれたんですか?

行きましたよ。1人でデジカメ持って、車の後ろに三脚とカメラを積んで。到着したら取材先の方が「1人で来たんですか?」って驚いていましたね(笑)。そこから局に帰ってインタビューの文字起こしをして、徹夜で構成立てて編集して、何回も試写して、自分でナレーションを収録して、プレゼンして出すっていうのをやっていました。

 

 

―――それも全部1人ですか。すごい作業ですね。

そのぶん周りもすごく期待してくれていました。NHK職員は入局すると、まずはほぼ全員、東京以外の地方局に配属されるんですけど・・・僕はそこでの活動が評価されて、2局目の異動で東京の報道のテレビ局に配属になりました。普通、いきなり2つ目でど~んと東京っていうのはないんですよ。でも、報道マンとしての基礎練習みたいなのは続けていましたので、そこは、自負心はありました。

 

 

―――東京に行ってからもその経験は活きましたか?

そうですね。他のスタッフさんとも、“僕あの現場、自分で取材したんですけど…”って言いながら入って行けるという自信もありましたから。まあ同じぐらい鼻をへし折られることもありましたけどね(笑)。ただ、財界とかを見ながらの放送ではなくて、皆さまの方を向きながらの放送にしたいというのは一貫して持っていました。

 

 

(1/4)『変身 - Metamorphosis』堀潤監督 メディアが間違ってくると世の中が…

(2/4)『変身 - Metamorphosis』堀潤監督 改革の機運がグシャっと潰れちゃった

(3/4)『変身 - Metamorphosis』堀潤監督 映画には当事者性を持たせる力がある

(4/4)『変身 - Metamorphosis』堀潤監督 理想的なメディアのカタチとは?

 

 

 

■映画「変身」情報

映画「変身」公式サイト:http://unitedpeople.jp/henshin/

8bitnews公式サイト:http://8bitnews.org/

ジャーナリスト・堀潤の公式ページ:https://www.facebook.com/8bitNews.HORIJUN

堀さん出演ラジオ:http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

 

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