料理に込めた主人公の心情変化 『起終点駅 ターミナル』篠原哲雄監督(3/4)

th.篠原監督3.jpg

原作と変えたこだわりのラストから、撮影現場での様子などが語られた前回のインタビュー。今回は…佐藤浩市さんと本田翼さんが心を通わせる上で重要なポイントとなる“料理”についてお聞きしました。ぜひ皆さん、映画ではこのおいしそうな料理にも注目してください!

 

 

 

作品を彩る料理について

ーーー物語の中、佐藤さんが本田さんにふるまう料理はとてもおいしそうでした

料理は、だいぶこだわりました。佐藤さんが演じた完治は、郷土料理のザンギ(*編集部注釈:濃いめの下味が特徴の鶏唐揚げ)をはじめ、いろんなメニューを新聞のレシピから作ったりしていて、本当に料理を大事にしている人なんですよね。

th_sub1.jpg

 

ーーーそれが完治と敦子が心通わせるキッカケになるんですね

自分が大事にしている料理を、普段は自分1人のために作っている料理を、初めて誰かのために作ったというところはポイントです。

 

 

ーーー完治(佐藤さん)の意識の変化が現れているところなんですね

佐藤さん自身も料理好きってところもあって、そういう心情はよくわかってもらえていました。あまりのこだわりに“僕だったら隠し味にウスターソースを入れるけどね“なんていうことで試してみるんです(笑)。実際食べてみたらおいしかったです!

 

 

 

料理研究会も開催

ーーーへぇ、味にまでこだわるってなかなかですね

実は、この作品のために料理研究会も釧路で開いたんです。作中では「慕情」として出てくるお店の女将さんに教えてもらいました。でも佐藤さんも料理好きだから、“地元ではそうかもしれないけど、僕はこうした方がいいと思うんですけど”なんて言ってけっこう盛り上がりました(笑)。

 

 

 

ザンギが出てくる2つのシーン

ーーーそのこだわりのおかげか、ザンギを食べた本田さんもおいしそうな顔していました

その事で言うと、映画の中で敦子がザンギを食べるシーンは2回あるんです。1回目は初めて完治の元にやってきて、たまたま食事をすることになったシーン。2回目は自分の家に帰る前の晩、いわば「別れのザンギ」なんです。ぜひこの2つの違いも見て頂きたいです。

 

 

ーーーどういう違いがあるんですか?

完治にとって、1回目はたまたまご馳走しただけだったけど、2回目は本当に彼女のために作ってあげたザンギなんです。だから、敦子に“おいしい”と言われたときの嬉しさや表情もまた違うんです。

(1/4)『起終点駅 ターミナル』篠原哲雄監督 恋愛ではない男女の関係を描く...

(2/4)『起終点駅 ターミナル』篠原哲雄監督 役としての緊張と芝居に対する緊張は違う

(3/4)『起終点駅 ターミナル』篠原哲雄監督 料理に込めた主人公の心情変化

4/4)『起終点駅 ターミナル』篠原哲雄監督 映画監督としてこのまま歩んでも良いかなと思えた...そんな出会いがありました

 

 

■「起終点駅 ターミナル」公開情報

*2015年11月7日(土)全国ロードショー

監督:篠原哲雄

脚本:長谷川康夫

原作:桜木紫乃「起終点駅 ターミナル」(小学館刊)

音楽:小林武史

出演:佐藤浩市、本田翼、中村獅童、和田正人、音尾琢真、泉谷しげる、尾野真千子

主題歌/「ターミナル」My Little Lover(TOY’S FACTORY

配給:東映

公式サイト:http://www.terminal-movie.com/

Related Post

トレーラー/CM

2017.02.17Fri

大注目のアクション映画『無限の住人』本予告がついに公開!

  今春大注目の映画『無限の住人』の本予告がついに公開となりました! 主演、木村拓哉が演じるのは、永遠の命を与えられた伝説の人斬り万次。 大人気コミックを実写化したこの作品公開前からネット上でかなり話題となっています...
トレーラー/CM

2017.02.04Sat

全国のこじらせ女子たちへ!映画『エイミー、エイミー、エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方』予告編が公開!

  恋愛恐怖症の女子たち必見の映画、『エイミー、エイミー、エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方』の予告編が公開! 「一夫一婦制は悪だ」と教えられて育った主人公は恋愛こじらせ女子…果たして彼女は本当...
トレーラー/CM

2017.01.22Sun

『ペット』スタジオ最新作『SING/シング』、予告編公開!!

    あの大ヒット作『ペット』のスタジオ最新作『SING/シング』の予告編がついに公開! 人生を変えるチャンスをつかむためにオーディションを受けに来た動物たちが今回の主人公。 とにかく歌って、歌って、歌...
インタビュー

2016.10.08Sat

女子の世界を男性にのぞき見してもらいたい

  ■男の人には「覗き見」してほしい世界 ――この映画は観ているとなぜか「自分語り」をしてしまいそうな魔力があるというか、自分のこの時代を思い出して友達と語り合いたくなるような「当事者性」があると感じました。 ああ、...