料理に込めた主人公の心情変化 『起終点駅 ターミナル』篠原哲雄監督(3/4)
原作と変えたこだわりのラストから、撮影現場での様子などが語られた前回のインタビュー。今回は…佐藤浩市さんと本田翼さんが心を通わせる上で重要なポイントとなる“料理”についてお聞きしました。ぜひ皆さん、映画ではこのおいしそうな料理にも注目してください!
■作品を彩る料理について
ーーー物語の中、佐藤さんが本田さんにふるまう料理はとてもおいしそうでした
料理は、だいぶこだわりました。佐藤さんが演じた完治は、郷土料理のザンギ(*編集部注釈:濃いめの下味が特徴の鶏唐揚げ)をはじめ、いろんなメニューを新聞のレシピから作ったりしていて、本当に料理を大事にしている人なんですよね。
ーーーそれが完治と敦子が心通わせるキッカケになるんですね
自分が大事にしている料理を、普段は自分1人のために作っている料理を、初めて誰かのために作ったというところはポイントです。
ーーー完治(佐藤さん)の意識の変化が現れているところなんですね
佐藤さん自身も料理好きってところもあって、そういう心情はよくわかってもらえていました。あまりのこだわりに“僕だったら隠し味にウスターソースを入れるけどね“なんていうことで試してみるんです(笑)。実際食べてみたらおいしかったです!
■料理研究会も開催
ーーーへぇ、味にまでこだわるってなかなかですね
実は、この作品のために料理研究会も釧路で開いたんです。作中では「慕情」として出てくるお店の女将さんに教えてもらいました。でも佐藤さんも料理好きだから、“地元ではそうかもしれないけど、僕はこうした方がいいと思うんですけど”なんて言ってけっこう盛り上がりました(笑)。
■ザンギが出てくる2つのシーン
ーーーそのこだわりのおかげか、ザンギを食べた本田さんもおいしそうな顔していました
その事で言うと、映画の中で敦子がザンギを食べるシーンは2回あるんです。1回目は初めて完治の元にやってきて、たまたま食事をすることになったシーン。2回目は自分の家に帰る前の晩、いわば「別れのザンギ」なんです。ぜひこの2つの違いも見て頂きたいです。
ーーーどういう違いがあるんですか?
完治にとって、1回目はたまたまご馳走しただけだったけど、2回目は本当に彼女のために作ってあげたザンギなんです。だから、敦子に“おいしい”と言われたときの嬉しさや表情もまた違うんです。
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■「起終点駅 ターミナル」公開情報
*2015年11月7日(土)全国ロードショー
監督:篠原哲雄
脚本:長谷川康夫
原作:桜木紫乃「起終点駅 ターミナル」(小学館刊)
音楽:小林武史
出演:佐藤浩市、本田翼、中村獅童、和田正人、音尾琢真、泉谷しげる、尾野真千子
主題歌/「ターミナル」My Little Lover(TOY’S FACTORY)
配給:東映