若手監督にはもっと本を読んで欲しい 押井守監督『THE NEXT GENERATION パトレイバー首都決戦 ディレクターズカット』(2/4)
映画人として若手に対する想い
前回、キャラクター誕生におけるこだわりについて語ってくれた押井監督のインタビュー。今回はそのパトレイバーの撮影現場の話から、1人の監督として今の日本の若手監督に対して感じた想いをお聞きしました。
■シリーズを通して感じた若手俳優の成長
―――撮影では、現場の方が楽しいと仰ってましたが、現場での苦労はなかったですか?
前回も言ったけど、脚本の作業の時点で、映画作りはほぼほぼ決まっていて…このキャラは何でこうなんだろうって現場で監督が悩んでいたら遅いんです。ただ、真野さんはキャラクターをどう表現すればいいか、彼女なりに見つけるのにいろいろ苦戦、工夫してたようです。
―――その辺り、彼女の演技を見守っていてどうでした?
シリーズの1話目から比べると、とても女らしく成長したと思いますよ。
―――灰原零は、森カンナさんが演じていますが…森さんをキャスティングした理由は?
映画としての色つやが出て良かったですね!パトレイバーを実写でやるなら、灰原零はぜひ若い女優でやりたいなと思っていたので。パイロットスーツを着せるのもおっさんに着せるんじゃなくて、見ていて伸びやかな造形が欲しいじゃない(笑)。
■若手監督にはもっと本を読んで欲しい
―――今、若手俳優に関するお話がありましたが…若手監督に対して感じることってありますか?
そうですね…いま若い監督に感じるのは、本をあまり読んでないのかなってことだね。多分、びっくりするぐらい読んでないと思う。昔の映画監督はとにかく本を読む人が多かった。今の若い人達は映画は見てるけど、本は全然読んでないと感じる。
―――映画作りにおいても本を読むことは大事なんですか?
本を読むと、映画を作るときに根拠が持てるようになると思うんです。映画っていうのは、どんな映画であっても何かのコピーに過ぎないのかもしれないけど、そこにオリジナルの部分を加えるっていうのが監督にとって大事なことで、それは本を読むことでしか身に付けられないんじゃないかと思う。別にそれは小説でなくてもいいわけで。
―――勉強になります
ちなみに…僕、小説は読まないんだけど、書いてはいて…新しい小説が8月28日発売です。『ゾンビ日記 2 死の舞踏』。気が付いたら13冊になってて、自分でもびっくりしちゃったね(笑)。
■交流のある映画監督“しんちゃん”
―――今、日本の若手監督についてお聞きしましたが、日本の監督で交流がある方は?
“しんちゃん”かな。この夏、『進撃の巨人』を見に行ったんだけど、まあ“しんちゃん”が監督だから見に行った感じだね。逆に“しんちゃん”じゃなかったら見なかっただろうけど。
―――“しんちゃん”とは樋口真嗣監督のことですね
そうです。日本映画って、ここで地雷踏んだなとか、ここでつまづいたなとか、作り手にとっては地雷だらけで難しいんですよ。“しんちゃん”とは以前から、そういう話を散々やって来てて。
―――『進撃の巨人』は見てどう感じました?
う~ん…地雷を見極めるのが上手い“しんちゃん”でも、ちょっと難しいところはあったのかなという感じですかね…。
(1/4)『パトレイバー首都決戦』押井守監督 カットした27分間
(2/4)『パトレイバー首都決戦』押井守監督 若手監督にはもっと本を読んで欲しい
(3/4)『パトレイバー首都決戦』押井守監督 企みがある映画に惹かれる...
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■「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット」公開情報
*2015年10月10日(土)全国ロードショー
監督・脚本:押井守
出演:筧利夫、真野恵里菜、福士誠治、太田莉菜、千葉繁、森カンナ、吉田鋼太郎、高島礼子
音楽:川井憲次
原作:ヘッドギア
制作:東北新社
VFX制作:オムニバス・ジャパン
配給:松竹
公式HP:patlabor-nextgeneration.com